認知症と歩行障害について
認知症による歩行障害についてご説明します。
昔から「老化は足(脚)から」と言われますね。
その言葉通り、年を取ると脚の筋力が落ちるのは当然のことですが、認知症によって歩行困難に至る場合が多々あります。
「アルツハイマー型認知症」の後期では、前傾姿勢で緩慢な歩行になりやすい特徴があります。
また、「脳血管性認知症」では、運動機能に障害が出るため(麻痺など)、歩行が難しくなりますし、「レビー小体型認知症」ではパーキンソン症状による歩行の緩慢、小刻み歩行が目立ってきます。
このように、歩行困難になる認知症の種類は様々なのですが、これにもうひとつ加えるべき症例があります。
それは「突発性正常圧水頭症(INPH)」と呼ばれる、高齢者に多く発症する脳室内の病気です。
この突発性正常圧水頭症は原因不明なのですが、反対に原因がはっきりしているもの(くも膜下出血や脳損傷など)を続発性水頭症と呼びます。
認知症による突発性正常圧水頭症と歩行障害
突発性正常圧水頭症とは、脳室内に充たされている「髄液」が吸収されずに溜まってしまい脳を圧迫し、様々な症状を引き起こすものです。
認知機能障害があるため、一般的な認知症と間違いやすいのですが、水頭症であれば髄液シャントという手術法で快復する可能性も大きいのです。
そのため、認知機能障害、歩行障害、尿失禁の三大特徴が現れたら水頭症も視野に入れ、専門医の受診をするのがいいでしょう。
この水頭症の歩行障害の症状である小刻み歩行は「レビー小体型」でも見られますが、足を開き、すり足で歩行するという特徴があり、転回時の不安定感や転倒のしやすさ、歩き出しや停止のしづらさにより差異が認められます。
また意欲や自発性、注意力の低下を伴う場合も水頭症を考えてみましょう。