認知症の日内変動について
認知症の方で、日内変動という症状が起きるケースがあります。
認知症による日内変動は、朝起きてから午前中はボーっとしているのに、黄昏時の夕方や夜になると興奮状態になったりするものです。
黄昏症候群と言われることもあります。
つまり、日内変動とは、1日の中でも症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すわけですね。
ここでは、そんな認知症による日内変動についてご説明します。
認知症の日内変動は「レビー小体型」に現れる?
そんな認知症による日内変動が強く現れるのは、どんな認知症なのでしょうか?
認知症には、四大認知症と呼ばれている「アルツハイマー型認知症」、「脳血管性認知症」、「レビー小体型認知症」、「前頭側頭型認知症」があります。
その中でも、特に「レビー小体型認知症」に、日内変動の症状が強く現れるとされています。
レビー小体型認知症になる原因は、レビー小体という特殊なたんぱく質によって神経伝達に障害が起こることによるものです。
朝は何ともなかったのに、午後になって認知症の症状が酷くなったりしますので、介護者が迷うことがあります。
また、レビー小体型認知症では、日内変動と同じく、初期の頃から幻視や妄想などの症状が現れることが特徴になります。
認知症での日内変動が原因で昼と夜の逆転が起こりやすく、夜中に突然大声を出すようなこともあります。
認知症の日内変動に対する注意
認知症による日内変動が起きてしまう患者の場合、水分不足による脱水症である可能性が高いと思われます。
そんな時には、認知症の方がいつも使っているコップや湯呑などの容量をキチンと確認することが大切です。
1日の内、それらを使ってだいたい何回くらい水分を摂っているかを計算しましょう。
そうすれば、大まかな水分摂取量が把握できるでしょう。
また、認知症の日内変動がみられる「レビー小体型認知症」の人は、頭がはっきりしている時と、そうでない時が両極端にあります。
ところがその反面、怒っている時と笑っている時でも差がないくらい顔の表情が乏しくなったりもします。
そのため、レビー小体型認知症の人への対応には注意しなければいけない点がいくつかあります。
たとえば、レビー小体認知症の症状の中に幻視や妄想が起こるために、とめどなく喋られる場合もありますが、本人には本来見えないようなものが見えているのは事実なので、決してそのことを否定してはいけません。
また、日内変動の影響がありますので、日中におかしくなって転倒等しないように介護者は注意する必要があります。
最近では、これまでアルツハイマー型認知症に用いられていた薬がレビー小体型認知症にも効果があることがわかり使用される場合もあるようです。
副作用のこともあるので、本人が安心するように接してあげることが一番の薬になると思われます。