認知症と作り話(作話)について
認知症の症状の一つに作話(さくわ)というものがありますが、ご存知でしょうか?
読み方は作話(さくわ)ですが、要するに「作り話」のことです。
認知症と作り話について、私の体験談を一つご紹介しましょう。
ある独身の認知症の方がいらっしゃいます。
その方からいきなり、
「今度、結婚することになりました。結婚式を○月○日に挙げるのでぜひ来てください。」
と言われて驚いたことがあります。
もちろん、そんな事実はありませんので作り話ですが、認知症のご本人は至ってまじめなことなのです。
しかも、お相手の名前や素性なども、リアルに話してきますので、本当のことのようにも見えます。
このようなポジティブな妄想から来る作り話であれば、対応としても「よかったですね。おめでとう。」と返すことで収まります。
認知症の作り話(作話)がネガティブな妄想から来る場合
認知症の作り話(作話)で問題になってくるのが、ネガティブな妄想によるものです。
たとえば、認知症の妄想にお金(など)を盗られたと訴える「物盗られ妄想」や、妻や夫の浮気を疑う「嫉妬妄想」というものもあります。
「家族が食事を作ってくれなくて辛い」とか、「あの人が自分の悪口を言いふらしている」とか、家族以外をも巻き込む作り話をしてくることもあります。
また、自分が誤って物を壊したのにも関わらず、「嫁が壊した!」「息子が壊した!」などと、誰かほかの人物がやったというような作話が出ることも多いです。
このような認知症のネガティブな妄想からの作り話は、ご家族にとっても困ってしまう状態です。
なんとか「そんなことはない」と説得しようとしますが、ご本人は真実を語っているつもりなのです。
変に否定し続けると、結果的に「嘘つき呼ばわりされた」と憤慨してしまいます。
認知症の作り話(作話)への対処法は?
認知症の作り話(作話)への対処法は、一体どのようにすれば良いのでしょうか?
一番重要なことは「ウソをついている!」などと言っ、て追及したり、責めたりは絶対にしてはいけないということです。
もちろん、介護者の方やご家族の方がイライラしてしまうのは仕方がないと思いますが、ここはちょっと我慢が必要なのです。
そこで、このような作り話への対処としては、「そうですね。」「それは辛いですね。」などと受け入れてあげるのがいいでしょう。
ご本人が頑として信じ込んでいるため、このような手立てしかないのが、もどかしいところではありますが・・・。
信じ込んでいる状態を、否定することは解決策どころか、火に油を注ぐような状態になりますので注意が必要です。
また、外でネガティブな作り話をすることも少なくありません。
そんな場合には、あらかじめ「認知症のせいで作り話をすることがある」と打ち明けておくことも予防策のひとつです。