認知症で奇声を発することについて
認知症の患者が、わけの分からない奇声を発することはよくあることです。
認知症患者のいる介護施設を訪れると、時折『ワァ~・ワァ~』や『ア~・ア~』などの奇声が聞こえてくることがあります。
認知症の方が発する奇声とは、日中であったり夜間であったりと様々です。
しかし、介護の仕事に夢を抱いて就職してきた若者達にとっては、少々衝撃的な場面であるのかもしれません。
特に、夜間に大きな奇声をあげられると介護者の方は、驚いたり、寝不足になったり、本当に大変な思いをします。
ここでは、そんな認知症による奇声についてご説明します。
認知症で奇声を発する原因は?
認知症患者が奇声を発してしまう原因は一体なんでしょうか?
主だった原因の一つに、認知症であるがゆえに自分の気持ちを言葉にして伝えることが出来ない苛立ちによるものであるケースがあります。
たとえば[痛い・かゆい・寒い・暑い]などの身体的な苦痛を言葉に表せずに、訴えている奇声という場合があります。
また、[寂しい・辛い・不安]などの精神的な訴えの場合もあります。
あるいは自宅から介護施設に初めて移ったり、逆に施設から自宅に帰った時には環境の変化が起きます。
そのために、不安感や違和感が増大することによっても奇声を発することがあります。
認知症で奇声を発する病気には、脳が委縮することで起こる“アルツハイマー型の認知症”があります。
また、脳の神経細胞の中にレビー小体と呼ばれるタンパク質の塊が大脳に現れることで起こる“レビー小体型認知症”などによくみられる症状です。
レビー小体の場合は、幻視や幻聴などによって認知症患者が困惑して奇声を発したりします。
認知症の奇声にはどう対処する?
認知症により奇声を発する人への対応は“根気強く決して焦らずあきらめない”ということを自分自身に言い聞かせる必要があります。
そのうえで、本人が“どのような日常生活を送っていたのか?”
また“どのような仕事をしていたのか?”
“趣味は?”“家族関係は?”
などの情報を集め何が原因になっているのかを考えてみることです。
たとえば、認知症の患者が日中に奇声を発することが多い場合は、体調不良や見当識障害で自分がどこにいるのか理解できないことが原因になっている場合もあると考えられます。
また、夜間の奇声が多い場合は夜に覚醒していると考えます。
その場合、昼間に適度な運動を取り入れて、夜に眠れるような環境をつくる努力が要ります。
その際、レクレーションなどが有効に働く場合もあります。
いずれにしても、認知症の方が奇声を発するのは不安や恐怖などの訴えからくるものです。
ですので、とにかく安心してもらうことが一番大事です。
そのためには“じっと手を握る”だけでも効果があることを覚えておきましょう。