認知症とてんかんについて
認知症とてんかんが同時に起きるという話を聞いたことはありますか?
認知症で物忘れが酷くなることは分かるが、てんかんが起きるとはどういうことだろうか?と疑問を持たれる方も多いと思います。
ちなみに、てんかんのご説明をしますと、脳に異常な痙攣(けいれん)が起こることで、突然意識を失ったり、痙攣を起こしたりする病気のことです。
認知症の種類にアルツハイマー型認知症というものがありますが、その場合「てんかん」が起きやすくなると言われています。
ここでは、そんな認知症とてんかんにどのような関係性があるのかをご説明します。
認知症の「てんかん」はアルツハイマー型と言われる理由
認知症による「てんかん」がアルツハイマー型が原因と言われるのには理由があります。
アルツハイマー型認知症が進行すると脳内の「海馬」という、情報等を保存する部分が崩れていきます。
海馬はてんかんが1番起こりやすい部分と言われており、海馬から起こるてんかん発作を複雑部分発作といいます。
その場合、意識が一瞬失われるという症状がでてきます。
しかし、高齢者になると「茫然とする」「不注意」「無反応」「健忘」「おかしな行動」「攻撃的になる」という症状が現れます。
そのため認知症と診断されてしまう事があり、発作を起こす度に脆くなっている海馬を更に壊す事になり、記憶障害が悪化してしまいます。
高齢者のてんかんは突然「どこにいるのだろう」「今は何時?」と現実感が喪失したりします。
また、数時間~丸1日の記憶が失われるのに対して、認知症とは脳全体の機能が低下し物事の判断がつかなくなります。
重度の認知症の方で例えを出すと、普通の方は排泄する際に、トイレへ入ると排泄の為に「ズボンを下ろす」「便座に座る」「排泄する」「陰部を拭く」「ズボンを上げる」「水を流す」と無意識下でもトイレを使う事が出来ます。
しかし、認知症の方となると「排泄したい」「トイレへ入る」、「どうしてここにいるのだろう」と「何を」「どのように」「何の為に」と判断や方針を決める事が出来なくなってきます。
また、認知症の方のてんかん発症率は一般の方と比べると5~10倍といわれています。
平均6年で発症し、認知症の方の約10%~20%が発症していると報告されております。
その中でも、複雑部分発作は約70%であり、上記で記載した程、認知症状が重度でない場合、高齢者てんかんと認知症の区別が難しいとされています。
認知症によるてんかんが発症したら?
認知症によるてんかんが発症したら、どういう対処をすれば良いのでしょうか?
高齢者のてんかんには、抗てんかん薬での治療が有効で、効果は直ぐには出ないものの効果は良好で発作が抑えられ再発も防ぐ事が出来ます。
それでも激しく発作を起こしたり、長時間の発作の場合は、早急に病院治療する必要があります。
また、抗てんかん薬での治療ですが、副作用が小さい事でも知られていますが、高齢者の場合は副作用が大きく出る場合があります。
眠気、ふらつきにより、転倒するリスクもありますが、初期段階では多量の処方はされません。
ですので、医師の指示の元、少しづつ量を増やし、経過を見てください。
更に、てんかんによる痙攣発作、意識喪失した場合には慌てないことが大切です。
転倒し怪我をしないよう、ソファや椅子に座らせたり、食事後だと横向きの体制(顔も)にすると嘔吐物による窒息も防げます。
発作が起こっても動き続ける場合もありますので、事故には注意する必要があります。
てんかんの検査は脳波検査、MRI、画像診断で行われます。
介護者の出来ることとしては、診察の際に医師が参考にしやすいように、「いつ」「どれくらい」痙攣、意識が無かったか、等も伝えると診断しやすくなると覚えておきましょう。