認知症の弄便(ろうべん)について
認知症になった方の弄便(ろうべん)に頭を悩まされる介護者はとても多いです。
弄便とは、便を弄(もてあそ)ぶと書きますが、読んで字のごとし、そういう行動を認知症の方が行うということになります。
自分の便を弄ぶなどということは、普通だったら考えられませんよね?
初めて遭遇した介護者の方は、自分の目を疑うことでしょう。
しかし、認知症による弄便(ろうべん)という行為は「便」という認識ができずに、本人もどうしたら良いかわからないでいる状況が多いのです。
ここでは、認知症の方の弄便(ろうべん)についてご説明します。
認知症の弄便(ろうべん)の原因は?
認知症による弄便の原因とは一体何なのでしょうか?
これには、いろいろなパターンがあります。
たとえば、認知症の方が「便失禁」をしてしまったケースについてご説明します。
便失禁をしてしまった場合、当然、お尻に「不快感」があります。
そこで、認知症のご本人としては、自分でおむつや下着を脱いだり、その中に手を入れたりしてしまい、結果的に便が手に付いてしまいます。
そして、この後が「やっかいな行動」となります。
認知症の方は、便という認識ができなくても手が汚れているのはわかります。
そのため、近くの壁やカーテンなどで手を拭いてしまいます。
その結果、あたり一面がものすごい状態になって、ありえない光景が目に飛び込んでくるわけです。
また、さらに信じられないことに、便を「食べられる何か」と思い込んで、口にしてしまうこともあるのです。
ご家族にとっては「部屋に便を塗った」「便を食べた」という、本当にショックな出来事ではあります。
思わず怒鳴ったり、乱暴に扱ったりしてしまうのも無理のないことだと思います。
しかし、酷なようですが、その対応が認知症の方に対して「良い結果」を生むことはありません。
まずは落ち着いて状況を把握し、対処は冷静に行ってください。
認知症の弄便(ろうべん)対策はどうすれば良い?
認知症の弄便(ろうべん)への対策についてご説明しましょう。
認知症の方の弄便を防ぐための最善策は、もちろんトイレで排便させることです。
起床後や食後は、体の反射により排便しやすいため、そのタイミングでトイレに誘ってみるのは、かなり有効です。
あるいは、認知症の方の横に付き添っていられるのであれば、便通のサインを察知してトイレに誘導するのも良策です。
これらが難しい場合には、おむつをこまめにチェックし、汚れたらすぐに交換するということで、弄便はかなり防げます。
それと、これは心理的な問題の一つですが、認知症の方の前で「弄便行為についての話題はしない」ということが重要です。
もし、弄便で手が汚れていたら「手を洗いましょう。」などと言って、そのことには触れずに洗い場へ連れていきましょう。
大変だとは思いますが、何事もなかったように、さりげなく手を洗ってあげましょう。
また、あらかじめ部屋の壁や床を、掃除しやすい材質でカバーするというのも、防御策としては有効です。
認知症の弄便(ろうべん)対策は、我慢と根気が必要となるケアですが頑張ってください。