認知症で同じ話をされるケースについて
認知症の患者の方が、同じ話を何度も何度もするというのを目の当たりにした方はとても多いことでしょう。
「また同じこと言ってる!」「さっきも言ってたのに!」「もぉ~!何回言うのよ!」
認知症なんだから仕方がないとは思いつつも、ついさっきと同じ話を何度もされると声を荒げたくもなりますよね?
認知症の患者と接する方は、このような場面に出くわすことも多いのではないでしょうか。
ここでは、認知症の患者が同じ話をするケースについてご説明します。
認知症で同じ話をするのはアルツハイマー型?
認知症でなくても同じ話を何度もする人はいますが、わずか数秒で言ったことを忘れてしまうのはアルツハイマー型の認知症の症状であるケースが多いです。
アルツハイマー型認知症で同じ話をする原因は、頭部側頭葉にある海馬が委縮することで、新しく体験したことを覚える「記銘力」という能力が著しく低下することにあるとされています。
そのため、何度も同じ話をしたり、「ご飯まだ?」「ゴミを捨ててくれた?」と何度も聞いてきたリ、今行ったばかりのトイレに行きたいと訴えてきたりする症状が現れるのです。
また、認知症になると、一度にいくつもの情報の処理ができなくなります。
結果として、その都度フワッと頭に浮かんだことを、そのまま繰り返して言うからだとも言われています。
ただ、アルツハイマー型の認知症の場合の「長期記憶」は比較的保持されていることが多いです。
なので、最近のことは覚えられなくても、若い頃の仕事や、昔よく歌っていた歌など覚えているケースが多く見受けられます。
認知症で同じ話をする人との接し方は?
認知症患者から同じ話を何度もされると、1度や2度は「フンフン」と聞いていることができるでしょう。
しかし、それ以上になると自分にも余裕が無くなってついきつい言葉を使ってしまいがちです。
ただ、たとえ認知症であっても『きつい言葉で言われた』という感情は残っているので、介護者の方も悩んでしまうわけです。
ちょっと感情的になっただけでも、恐怖や不安から認知がひどくなったり、うつ状態になってしまうケースもありますからね。
では、認知症で同じ話をいつまでも繰り返す場合は、どのように対処すればよいのでしょうか?
とても難しいことではありますが、認知症で何度も同じ話をする人と接する時は、たとえ聞いていなくても、ただひたすら頷いてあげることが大切です。
これは口で言うほど簡単ではないのですが、認知症の患者の場合は、介護者も「心を無にする」くらいのつもりで、ひたすら頷いて聞くことに徹しましょう。
実は、それだけで本人は安心されるのです。
また、途中の相槌もいろいろな言葉で返すよりも、同じ言葉でゆっくりと言葉を返してあげた方が安心はされるようです。
認知症の患者が同じ話を繰り返す時は、むやみに怒鳴ったりして状況を悪化させないことが、何よりも大切です。