認知症と統合失調症の違いについて
認知症と統合失調症は間違われることが多いですが、その違いはどこにあるのでしょうか?
まず「認知症」は、一度取得した知能が存在したにもかかわらず、後天的に脳に障害を受けたことがキッカケとなります。
その結果、記憶機能や認知機能が低下し、日常生活が難しくなる状態で、若年性認知症もあるけれども概ね高齢期に起こる病であり、誰にでも起こりうるのが認知症です。
それに対して「統合失調症」は、10代から40代くらいの比較的若い頃に起きやすい病気だといわれています。
ここでは、そんな認知症と統合失調症の違いについてご説明します。
認知症と統合失調症の違いは何?
統合失調症の認知症との違いは何でしょうか?
統合失調症は、一言で言えば「精神疾患」の一種となります。
統合失調症の陽性症状は、実際には聞こえることのない声や音(幻聴、幻視、妄想)が聞こえるため、一人で喋っているということがあります。
陰性の症状の場合には、感情の平坦化、自閉的な面があったり意欲の低下なども特徴です。
しかし、統合失調症になる原因は生まれ持った素質であるのかストレスなどからくるものなのかハッキリしていません。
認知症が脳の機能的な部分を失ったということに対し、統合失調症は精神的な要因が関係していると考えられています。
また、統合失調症は全体の70~80%ほどが思春期から30代くらいの頃に発症していると報告されており、また病気であることを自分では認識できない場合があります。
認知症と統合失調症の見分け方
認知症の症状と統合失調症の症状はよく似ています。
以前は年齢が若い頃に発症する痴呆症として「早期性痴呆」と呼ばれた頃もありました。
しかし、認知症と統合失調症には決定的な違いがあるため見分けることは可能です。
たとえば、認知症の症状には『財布やお金を取られた』という被害妄想があります。
統合失調症の症状にも『自分は誰かに監視されている』などの被害妄想が現れることはあります。
では違いは?というと、認知症の人は取られたことを口に出して訴えることが多いのですが、統合失調症の人はため込んでしまうといった違いがあります。
さらに決定的な違いは、統合失調症の人には認知症の人のような「徘徊」や「物忘れ」の症状はみられません。
認知症か統合失調症かを見分けるにはそのような症状から判断することができます。
統合失調症は、新薬や心理的ケアの向上によってよって、初めて統合失調症が発症した患者の50%は、キチンとした回復が期待できると言われています。
では、認知症と統合失調症への対処はどのようにすれば良いのでしょうか?
2つの病気への対処で共通するのは、どんなに現実的ではないと思われる妄想や言動に対しても、決して否定してはいけないということです。
ちょっと忍耐は必要ですが、楽しく話を聞けるくらいになれると良いですね。
認知症と統合失調症をキチンと見分けるためには、専門医(脳外科や物忘れ外来等)を受診しましょう。
どちらも、早期治療が何よりも大切です。