認知症で口に溜め込む
認知症患者の中には食事の際、食べ物を口に溜め込む方、そしてそれによってなかなか飲み込むまでいかない方がいます。
口に溜め込む原因は、まずは介護拒否からくるものがあります。
その場合は、ご本人の意思ということになりますので、いろいろな話をすることで解決できるケースもあります。
しかし、認知症によって口に溜め込む患者で困ってしまうのが、ご本人の意志ではない場合です。
たとえば、食事をする為の運動機能(嚥下)の低下、脳機能の低下に伴う食事の仕方が分からない、食べ物と認識できない、他の事に意識が逸れてしまう、と様々あります。
ここでは、認知症の患者の意志では難しい「口に溜め込む」場合の原因と対処法についてご説明します。
認知症で物を口に溜め込む原因とは?
では、認知症によって物を口に溜め込む場合の原因、脳機能の低下、食べ物と認識が出来ない、意識が他に逸れてしまうについて説明します。
認知症により脳機能が低下すると、日常生活動作(ADL)、手段的日常生活動作(IADL)が落ちてしまいます。
食事という行動はADLに含まれており、脳細胞の破壊、変異で認知症の進行と共に動作が行えなくなります。
そのため、認知症の進行に伴い食べ物と認識できず、口の中に溜め込みいつまでもモゴモゴとし続けてしまいます。
また、認知症の方は複数の事に意識がいかなくなり、目に入る所にテレビが映っていたり、人が行き来していると、そこに意識が逸れて口に溜め込む事もあります。
認知症で口に溜め込む場合、それを食べてもらうには?
認知症で口に食べ物を溜め込む場合、食事の仕方が分からなくなったケースなら、介護する側の人が目の前に座り、一緒に食事をし食べ方を真似してもらう、という方法があります。
また、食べ物と認識できない場合には、食べ物と認識できるような声掛けをすると効果的です。
たとえば・・・
「お父さん(認知症の方の名前)の好きな、○○ですよ」
「美味しいカレイの煮付けですよ」
等、具体的な料理、本人の好きなもの、食べ物と認識出来る様に声掛けする事によって食べる事が出来る場合があります。
他の事に意識がそれてしまう場合、テレビを消したり、食事に集中出来る様に座席や家具の配置を変える等の調整を行ってみてください。
食事をするのに一般の方は三食食べないと身体が持ちませんが、高齢者になってくると運動量も減る為、食事を三食必ず食べないといけない訳ではなくなります。
そのため「一食食べなくても大丈夫」という気持ちも必要です。
本人が食べる意欲がある時には食べてもらう等、食事の時間帯がバラバラになってしまうかもしれません。
ですから、その様な対応も一つの手段ですが、そうすると昼夜逆転、時間の感覚が失われていく可能性もあるので注意が必要です。