前頭側頭型認知症(FTD)の常同行動にはどんなことがある?
前頭側頭型認知症(FTD)の常同行動にはどのようなことがあるのでしょうか?
前頭側頭型認知症(FTD)は、他の認知症に比べて物忘れなどの記憶障害があまり目立たないことが多いです。
それに対して、一見、認知症とは思えない多彩な症状を示すことが多くあります。
そのうちの行動のひとつに「常同行動」というものがあります。
今回は、前頭側頭型認知症(FTD)の常同行動について、どのようなことなのか、そしてどのように対応したら良いのかをお伝えします。
前頭側頭型認知症(FTD)の常同行動とは繰り返すこと?
前頭側頭型認知症(FTD)による常同行動とは、大まかに言うと「意味のない同じ行動を繰り返す」というものです。
例えば、指でトントンと音を立てながら机をずっと叩いていたり、同じものばかり食べ続ける、決まった時間以外には行動しない、決まったコースだけを散歩するなどです。
これらの行動は、他人から見ると一見意味のない行動に見えますが、他人が注意をしてもその行動を止めたりすることはできません。
むしろ、無理に行動を止めようとするとかえって混乱してしまい、怒り出してしまうこともあります。
この常同行動は、前頭側頭型認知症(FTD)による前頭葉と呼ばれる脳の一部が障害されることによって起こるものです。
前頭葉は、人間が人間らしくいるためのより高次な機能を担っていて、その中に、「行動の計画をたてる」という機能があります。
また、物事への興味をもつ機能も前頭葉が担っているため、前頭葉が障害されることで、自分の興味のある行動のみを繰り返すという症状に陥ってしまうのです。
前頭側頭型認知症(FTD)による常同行動への対応と注意点
前頭側頭型認知症(FTD)の方の常同行動は、他人が注意をしたとしても治らないことがほとんどです。
本人は、自分の行動がなぜ注意されるのか、なにがおかしいのかを全く把握していないためです。
もしも、無理に止めるとかえって混乱してしまうためやめましょう。
前頭側頭型認知症(FTD)による常同行動が見られた際には、注意をして止めたりせずに、しばらく様子を見守るようにしましょう。
そして、常同行動が、本人の身に危険が及びそうなものの場合は、事前にこちらが環境を整えた起きましょう。
たとえば、常同行動で、毎回歩く同じ道に段差やつまづきそうなものがある場合には、事前に段差を解消したり、障害物を退かして起きましょう。
また、時刻通りにつねに行動してしまう場合には、その常同行動を利用して、食事なども生活のリズムのなかに取り込んでいくようにしましょう。
前頭側頭型認知症(FTD)の方を見守る視点を忘れずに、環境を工夫することが大切です。