前頭側頭型認知症(FTD)のリハビリについて
前頭側頭型認知症のリハビリには、どのようなことが有効なのでしょうか?
前頭側頭型認知症のリハビリを理解するためには、他の認知症にはあまり現れない難しい症状を知る必要があります。
前頭側頭型認知症では、同じ行動を繰り返す「常同行動」と呼ばれるものがあります。
そして、もう一つが、周囲の迷惑を考えず行なう自由奔放な行動「脱却制」があります。
ここでは、そんな前頭側頭型認知症で行うべきリハビリについて見ていきましょう。
前頭側頭型認知症(FTD)のリハビリは難しい?
前頭側頭型認知症のリハビリは、とても難しいと言われています。
では、まずは前述した「常同行動」と自由奔放な行動「脱却制」を詳しくご説明します。
1番目の「常同行動」でよく知られているのは、どんな行動でしょうか?
それは、まず「常同的周遊」と呼ばれる行動です。
たとえば、どんな天候であっても(雨だろうが風だろうが)毎日同じコースを同じように歩くことに固守します。
また、時刻表的生活と言うもので、毎日決まった時刻に決まった行動をすることに固守します。
そして、「常同的食行動異常」というものもよく知られています。
常同的食行動異常は、買い物に行くと必ず同じ食べ物を買ってきたり、毎日同じメニューの食事を作ったりする行動などがあります。
2番目に、自由奔放な行動「脱却制」ですが、これはもっと困った行動となります。
たとえば、食欲が抑えられなくて、店先においてある品物を勝手に取って食べてしまいます。
つまり、反社会的な行動をとってしまうのです。
しかし、本人には悪気も無く、罪の意識もありません。
また、病院などで先生と話をしていても気に入らないことがあると、勝手に席を立って出て行ってしまうことはよくあることです。
では、なぜこうした症状が出るのでしょうか?
前頭側頭型認知症は「ピック病」によって発症すると言われています。
ピック病には、主に前頭葉の萎縮による前頭型ピック病と、もうひとつ主に側頭葉の萎縮による側頭型ピック病があります。
そしてピック病は、ピック球と呼ばれる異常物質が脳のなかの神経細胞内に蓄積しているという特徴は分かっていますが、病気の解明は未だされていません。
この前頭葉には、感情を抑制し理性的に行動できるようにする役割がありますが、それが上手く働かないのです。
また、側頭葉は、聴覚、味覚、記憶、判断力、感情をコントロールする役割があります。
残念ですが、こうした症状を改善したり、進行を抑える為の有効な薬も治療法もない状態です。
そして、リハビリについても同じことが言えます。
前頭側頭型認知症(FTD)のリハビリのコツと注意点
前頭側頭型認知症のリハビリのコツと注意点についてご説明します。
前頭側頭型認知症も、やはり脳が萎縮していきますので、進行していくと身体的な動きにも支障が出てきて、寝たきりになることもあります。
そうした時期に備えて、全体的な運動機能を保つようなリハビリ治療が必要となります。
また、常同行動を無理に遮ろうとすると興奮して暴力行為に出ることがありますので、その点には十分注意する必要があります。
常同行動は大きな特徴ですが、パズルなど趣味的な作業を継続して行い、新たな行動パターンを作ることが出来れば、問題となる常同行動の軽減が期待できるとも言われています。
このような前頭側頭型認知症の特徴をよく理解して、症状をよく考慮した対応をすることは、一つのリハビリのコツとも言えるでしょう。