前頭側頭型認知症とアルツハイマーの違いについて
前頭側頭型認知症とアルツハイマー型認知症の違いをご存じですか?
認知症には様々な種類があり、現在、最も多いのはアルツハイマー型認知症といわれています。
そのため、アルツハイマー型認知症に対する対策や、物忘れ防止等の情報は、けっこういろいろな場所で目にすることが出来るでしょう。
しかし、前頭側頭型認知症とアルツハイマー型認知症との違いについては、あまりご存知ない方が多いと思われます。
ここでは、そんな前頭側頭型認知症とアルツハイマーとの違いや、接し方の違いをお伝えしたいと思います。
前頭側頭型認知症とアルツハイマーの一番の違いは「初期症状」?
前頭側頭型認知症とアルツハイマー型認知症の一番の違いは、初期の症状にあります。
アルツハイマー型認知症では、「記憶障害」という物忘れが目立ち、主症状も「物忘れ」であることがほとんどです。
それに比べて、前頭側頭型認知症では、記憶障害という症状はあまり目立ちません。
それよりも、行動面の障害や、
- 「怒りやすい」
- 「無関心」
- 「スーパーから物を盗んできてしまう」
などの感情の障害・行動や心理面での障害が目立ちます。
そのため「おかしいな?」と気付いた周囲の人も、認知症ではなく、精神障害などを疑うことがあるほどです。
この原因はアルツハイマー型認知症と前頭側頭型認知症の病因による違いが大きいとされていますが、実は両者ともはっきりとした病因は明らかにされていません。
ただし、前頭側頭型認知症とアルツハイマー型認知症は、障害されやすい脳の部分は違います。
アルツハイマー型認知症は、脳にβアミロイドという物質が蓄積することで、細胞が変性することにより発症します。
それに対して、前頭側頭型認知症では、脳の前頭葉や側頭葉と呼ばれる部分が障害され、退化してしまうと言われています。
この部分は「情動(感情)の抑制」「周囲への興味関心」等、人間らしさをつかさどる部分であるため、前述した症状が前面に表れてしまうのです。
前頭側頭型認知症とアルツハイマーとの接し方の違い
アルツハイマー型認知症と前頭側頭型認知症の具体的な接し方の違いについてお伝えします。
前述した通り、アルツハイマー型認知症は「物忘れ」。
前頭側頭型認知症は「人間らしさの障害」が主であるとされています。
この点を踏まえて、接し方を工夫します。
アルツハイマー型認知症の方は「物忘れ」が主であり、認知症が初期であればあるほど「物忘れ」を自覚して落ち込んでしまったり焦ってしまう方が多いです。
そのため、物忘れに気付かせない接し方の工夫をすることが効果的です。
たとえば、日付や少し前の事をあえて確認したり質問したりすることが大切です。
一方、前頭側頭型認知症では「物忘れ」は初期ではあまり起きないため、そのような配慮をすることは、あまり必要ないでしょう。
しかし、前頭側頭型認知症の場合は、アルツハイマー型認知症とは違い、ささいなことで怒ったり、社会性が失われてしまうことがあります。
ですから、介護者が感情的にならないよう注意しつつ、
- 「駄目なものは駄目」
- 「こうして下さい」
などを、冷静かつハッキリと伝える必要があります。
アルツハイマー型認知症の初期では、社会性等は失われることは稀です。
なので、むしろ相手の表情や話し方の抑揚などで、言葉の意味を受け取ろうとすることがあるため、感情や表情変化を用いて接するようにします。