前頭側頭型認知症(FTD)の口唇傾向について
前頭側頭型認知症(FTD)は、様々な特徴的な症状を示す認知症です。
前頭側頭型認知症の症状の中には、口唇傾向と呼ばれるものがあります。
口唇傾向は、言葉だけでは分かりにくい症状ですが、特徴を知ることで対処しやすくなります。
今回は、前頭側頭型認知症の口唇傾向についてお伝え致します。
前頭側頭型認知症(FTD)による口唇傾向の特徴について
「口唇傾向」とは、前頭側頭型認知症の方に特徴的にみられる症状の一つです。
前頭側頭型認知症では、物忘れ等があまり目立たちません。
しかし、その反面、感情の抑制ができずにすぐ怒り出してしまったり、社会的に禁じられている行為(万引きなどの軽犯罪など)を行ってしまうという問題があります。
口唇傾向も、この抑制が効かない症状のうちの一つです。
具体的な症状としては、以下のようなことがあります。
- 指をしゃぶる
- 皿を舐める
- 舌なめずりを繰り返す
- 石鹸を口に入れる等々・・・
つまり、口に関する問題行動のことをさします。
また、判断能力が低下しており、赤ちゃんと同じように目の前のものを口に入れることで、そのものが何なのか判断しようとしたりします。
説明によっては、味覚やこだわりの問題から、何にでも砂糖や塩を入れ大量に入れて食べたり、決まったものしか食べないなどの、食に関する問題行動も、この口唇傾向のうちの一つとすることもあります。
口唇傾向が現れると、人前でも指しゃぶりなどをすることがあるため、周囲に白い目で見られたりすることがあります。
また、塩分や糖分過多で、さらなる病気を併発してしまうリスクが生まれてしまいます。
前頭側頭型認知症(FTD)の口唇傾向に対する対応や注意点
前頭側頭型認知症の口唇傾向をその場で注意することは、本人の混乱につながります。
場合によっては、怒り出したり手をあげてしまう方もいます。
石鹸や紙を口にする入れてしまう等の異食など、その方の命に危険の及ぶ行為以外は、ある程度様子を見守る必要があるでしょう。
異食は、喉を詰まらせたり、命に危険が及ぶことがあるため、事前に防ぐ必要があります。
対策としては、口唇傾向で、口に入れようとしそうな危険物はあらかじめ隠しておくことです。
一例で言えば、紙・コイン・消しゴム・石鹸等、口に入れる危険性が高いです。
また、皿を舐めるなど、食事中の行動であれば、満腹感が得られていない可能性もあります。
食事へのこだわりがある場合も、一回の食事量を減らし、食事の回数を増やす等の対策も有効です。
そして、前頭側頭型認知症の口唇傾向で注意すべきなのは、薬を口に入れてしまう可能性があることです。
薬は、必ず本人の手が届かないところに保管しておきましょう。