前頭側頭型認知症(FTD)の症状と特徴について
前頭側頭型認知症(FTD)の症状と特徴には、どのようなことがあるのでしょうか?
前頭側頭型認知症は、脳の限られた部分に萎縮があるのが特徴の一つです。
昔はピック病と呼ばれ、解剖してみないと診断がつきませんでしたが、現在は、医学の進歩により画像検査で容易に診断できるようになりました。
前頭側頭型認知症は、反社会的行動を引き起こす事が症状の特徴で、周囲の人をとても悩ませてしまうやっかいな認知症です。
そんな前頭側頭型認知症の症状の特徴として、行動障害・感情障害・言語能力の障害がありますので、一つ一つ説明しましょう。
前頭側頭型認知症の3つの症状と特徴
では、前頭側頭型認知症の3つの症状と特徴についてご説明します。
症状と特徴(1)行動障害
前頭側頭型認知症は、発症や経過は緩やかではありますが、初期の段階から品行の障害という症状の特徴が出ます。
- 清潔さと整容の無視(だらしなくなる)
- 社会性に対する関心の消失
- 脱抑制的行為(泥棒・暴力等)
- 精神面での柔軟性の欠落
- 常同性(無意味な事をずーっと行う)
- 衝動的行動
- 注意力散漫
- 病識の欠如
前頭側頭型認知症の症状の特徴は、要するに「良識の欠如」が非常に目立ち問題となるということです。
症状と特徴(2)感情障害
2つ目の症状と特徴は、感情障害についてです。
- 抑うつ
- 不安
- 自殺念慮
- 執着観念
- 奇妙な自己身体への執着
症状と特徴(3)言語能力の障害
- 進行性の発語の減少
- 常同言語
・・・となります。
一見、前頭側頭型認知症の症状と特徴は、認知症ではなく別の病気を疑うような異常行動が出てきます。
たとえば、
「スーパーのビニール袋を際限なく引っ張り出す」
「全裸で洗濯物を干す」
「1日に何度も同じ物を買いに行き、お金を払わない」
「他人のゴミ袋に自分の家のゴミを入れる」
など、注意しても反省する事はなく、反抗的態度で攻撃して来るのも特徴的と言えるかも知れません。
前頭側頭型認知症の症状と特徴への対処法・注意点とは?
前頭側頭型認知症の症状の特徴が出始めた場合には、なるべく早い段階で専門医を受診することをお勧めします。
しかし、前頭側頭型認知症は、病識も良識もなくなってしまうので、受診にこぎつくまでにも一苦労します。
たとえば、お世話をするご家族も周囲になかなか相談できなかったり、大変過ぎて放置してしまうこともしばしばあります。
ご本人の症状の特徴から前頭側頭型認知症が疑わしいと感じる場合には、行政や社会資源を早めに利用することもおすすめの方法の一つです。
前頭側頭型認知症は、全経過を通して介護負担が大きく、専門家でも治療に苦渋する病気の一つです。
自分や家族だけで悩むのではなく、どうしようもないと思ったら専門家の手を借りるようにしましょう。