前頭側頭型認知症の滞続言語(たいぞくげんご)について
前頭側頭型認知症では、アルツハイマー型認知症などの他の認知症とは異なる様々な症状があらわれます。
その症状のなかに「滞続言語(たいぞくげんご)」という症状があります。
滞続言語とは、前頭側頭型認知症の方に特徴的な言語の障害です。
しかし、あまり聞き慣れない方も多いと思います。
そこで今回は、この前頭側頭型認知症によって現れる「滞続言語」という症状について、原因や対策、注意点などをお伝え致します。
前頭側頭型認知症の滞続言語とは「繰り返し言語」?
前頭側頭型認知症による滞続言語とは、前頭側頭型認知症による脳の機能の低下によって現れる言語障害のことを指します。
たとえば、会話中に出てきた単語を、後の会話でも繰り返してしまうというものです。
滞続言語は、前頭側頭型認知症によって、脳の前頭葉が「機能低下」を起こすことが原因の一つとされています。
言葉を発するときに、注意を切り替えたりすることが困難なために起きる症状だと言われています。
具体的には「今日のご飯は魚です。」という会話をしたあとに、「今日の天気はどうですか?」「明日は何曜日?」などと聞いたとします。
そうすると、本人は「今日は魚だね。」「うん、明日は魚。」などと答えてしまうのです。
滞続言語では、どのような質門をしても質門の内容とは関係なく、同じ単語で答えてしまいます。
これらの症状は、本人の意思に反しておこるものです。
滞続言語では、勝手に同じ単語や言葉が出てしまっており、その後の会話においても修正が効きにくくなり、同じ単語を繰り返してしまいます。
前頭側頭型認知症の滞続言語への対策や注意点
滞続言語は、前頭側頭型認知症によって脳の機能が低下したことで起こる症状です。
そのため、本人の意思によって治ったり、他人が注意をしても治ることはなかなかありません。
会話を聞いている側が滞続言語が気になって「おかしい」などと伝えたり注意したりすると、本人はショックを受けたり、怒り出してしまうことがあります。
ですので、直接的に滞続言語を注意をすることは避けましょう。
もちろん、強制的に正解の単語を言わせようとしたり、修正しようとすることも避けた方がよいでしょう。
もしも、前頭側頭型認知症で「滞続言語」が現れた際は、会話のスピードをゆっくりにしして見ることが有効です。
また、不自然ではない範囲で会話を中断して、ほかのことをするようにし、会話以外に注意をそらせるようにしましょう。
どうしても会話を続ける必要がある場合などは、筆談をしたり、絵や写真などの視覚的な情報を介して会話をすることも有効です。