前頭側頭型認知症(FTD)の末期症状について
前頭側頭型認知症(FTD)が末期に近づいていくと、どんな症状が出て来るのでしょうか?
前頭側頭型認知症は、末期へ向かって進行していくと、ほとんどの人が意欲が無くなり活動が低下していきます。
初期のころの同じ行動を繰り返す「常同行動」や、勝手に他人のものを持ってきてしまうような、自由奔放な「脱却制」という行動は、目立たなくなっていきます。
ここでは、そんな前頭側頭型認知症(FTD)の末期についてご説明します。
前頭側頭型認知症(FTD)の末期症状の具体例
前頭側頭型認知症(FTD)の特徴とも言える「常同行動」は、末期へ近づくほど、単純なものに変わっていきます。
たとえば、膝をさするとか、ズボンのシワを気にするとか、そのような感じに変化します。
そして、前頭側頭型認知症(FTD)が更に進行していくと、言葉がほとんど出なくなります。
また、他の人との交流もまったくしなくなります。
挨拶をしても無視するようになりますし、自分の意志や要求を口にすることもなく会話もなくなってしまいます。
そして、椅子に座ったままとかベッドに寝たままとか、何もしないようになってしまうのです。
このようにして動かなくなることが多くなって「運動障害」も出てくるようです。
そして、排泄、入浴、着替え、食事など、身の回りの基本的なこともできなくなっていきます。
前頭側頭型認知症の末期は、最終的に寝たきり状態になってしまうことも珍しくありません。
40~60歳代に症状が出始めて、2~10年くらいで末期となり、衰弱して死に至ることが多い病気です。
前頭側頭型認知症(FTD)の末期症状への接し方と注意点
前頭側頭型認知症(FTD)は、末期へ向かって症状の進行が進んでも、体の動く間は、周囲に問題となる行動を起こすことはあります。
ですので、この認知症の特徴である常同行動から推測して、関連する人達に協力をお願いし、問題が大きくならないように考慮することは大切です。
ご家族の中には、比較的早い時期から対策を取っておかれる方も多いです。
たとえば、常同行動に関係する店舗に前もって連絡し、前もってお金を支払ったり、持って行かれないような工夫をお願いしたりすることあります。
また、周囲の状況をまったく気にしないという症状から、衛生上の問題が出ないように、患者さんの周囲に気を配る必要も出てくるでしょう。
患者さんの中には、部屋の中に放尿、放便をしてしまったり、ごみを集めてきたりするケースもありますので、目が離せません。
前頭側頭型認知症も前頭葉、側頭葉から、脳の萎縮が進んでいきます。
ですので、介護する家族も時期を考慮して、病院などの施設に介護をお願いすることも視野に入れると良いでしょう。