前頭側頭型認知症(FTD)とうつ病の関係について
前頭側頭型認知症のうつ病を混同するケースはとても多いです。
認知症の方は、うつ病を併発しやすいと言われています。
脳の機能低下から生じるうつ病や、物忘れを自覚している状態でうつ症状を呈してしまう方など様々です。
そんな中で、前頭側頭型認知症の方は、はじめ「うつ病」と間違われてしまうほど症状が似ている場合が多くあります。
今回は、前頭側頭型認知症とうつ病の違いや、それらの原因などをお伝えしたいと思います。
前頭側頭型認知症(FTD)とうつ病の違いとは?
前頭側頭型認知症と「うつ病」の違いとは何でしょうか?
前頭側頭型認知症も「うつ病」も、原因は脳の機能の低下であると言われています。
前頭側頭型認知症では、脳の前頭葉と側頭葉の機能の低下が目立つと言われています。
前頭葉は、意欲・発動性(自ら何かをしようという意識)・コミュニケーション能力・判断能力など、人間が人間らしくいるのに必要な機能を担っています。
前頭側頭型認知症を発症して前頭葉の機能が低下すると、
- 何かをする意欲がわかない
- 動くのが億劫になる
- 人と関わりたくなくなる
等のうつ病に似た症状が出てきます。
そのために「うつ病」と間違われてしまうのです。
一方、うつ病の原因と言われているのは、脳内の神経伝達物質とよばれる物質である「セロトニン」などが減少してしまうことだと言われています。
このセロトニンは、人がリラックスしたり安心感を感じるために重要であると言われています。
これらの物質が減少してすると、悲観的になったり気分の落ち込みが見られるようになります。
実を言うと、これは前頭側頭型認知症の初期症状に似ています。
前頭側頭型認知症(FTD)によるうつ症状への対応と注意点
前頭側頭型認知症により、自ら何もしなくなるといった意欲低下や、コミュニケーション障害、思考の停止等の「うつ」と似ている状態が見られた場合は、主治医に相談しましょう。
また、初期症状では、うつ病であるのか、前頭側頭型認知症による症状なのかが判別できない場合もあります。
ですから、ふだんと少しでも異なる様子が見られた際は、多方面の医者にかかってみることも大切と言えるでしょう。
前頭側頭型認知症では、症状が進んでいくと、自分が何かおかしいと感じたり、病気ではないか?と思う病識がなくなってしまう場合があります。
そうなると、認知症かもしれないというご本人が受診をする必要性を感じることができなくなります。
そのために、病院に連れていくことが困難になってしまうこともあります。
そのようなことにならないためにも、前頭側頭型認知症が疑われる「調子がおかしい状態」になり始めたら、できる限り早い段階で病院を受診するようにしましょう。