前頭側頭型認知症(FTD)の中核症状について
前頭側頭型認知症(FTD)の中核症状とは、一体どのようなことをあらわすのでしょうか?
まず、認知症には様々な種類があります。
最も多いのはアルツハイマー型認知症です。
そのほかにも、レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症(FTD)など、いろいろな症状があらわれる認知症があります。
認知症の症状は大まかに分類されていて、そのひとつに中核症状というものがあります。
中核症状とは、認知症による中心的な症状のことを指しています。
今回は、前頭側頭型認知症の中核症状について、具体的な症状や対策をお伝えします。
前頭側頭型認知症(FTD)の中核症状は他の認知症とちがう?
一般的に、認知症の中核症状といえば、記憶障害(物忘れ)や失見当識(日付や場所、人の名前がわからない)を指します。
しかし、前頭側頭型認知症(FTD)では、初期からこれらの中核症状が見られることは非常に稀です。
その理由は、前頭側頭型認知症(FTD)によって障害される脳の部位が、他の認知症と異なるためです。
前頭側頭型認知症(FTD)では、記憶に関する脳の部分が障害されるのは、比較的認知症が重度になってからのことが多いのです。
前頭側頭型認知症は、ほかの認知症とは異なり、前頭葉と側頭葉が萎縮していくため、中核症状も特徴的です。
具体的には、以下のような中核症状があらわれます。
- ガマン・抑制がきかずに盗難などの反社会的行動をとる「脱抑制」
- 机を指でたたく等の意味のない同じ行動を繰り返す「常同行動」
- 集中力や自発性の低下など
前頭側頭型認知症(FTD)の中核症状への対応と注意点
前頭側頭型認知症(FTD)の中核症状は、認知症による脳機能の低下から起こります。
よって、本人の意思や、介護者の助言などで、症状自体を無くすことは難しいでしょう。
本人も無意識のうちに、中核症状となる反社会的な行動や常同行動をとっています。
そのため、これら前頭側頭型認知症(FTD)の中核症状を無理に止めようとしたり、注意をすることは逆効果で、本人の混乱につながります。
場合によっては、暴言や暴力につながってしまう恐れがあるため、ある程度は見守るように心がけましょう。
しかし、本人や他人の身の危険につながるような中核症状は、未然に防ぐことが必要となります。
その際のポイントとしては、事前に環境を整えることです。
例えば、同じスーパーで万引き等を繰り返してしまう恐れがある場合は、事前にその旨をスーパーの責任者などに伝えておくこと。
また、ケアマネジャーなどの介護プランを作ってくれる担当の人に相談をしましょう。
地元のシルバー人材などのパトロール等、地域の中で見守り要因を増やしたりすることも有効です。