前頭側頭型認知症(FTD)で窃盗がよく起きるってホント?
前頭側頭型認知症の患者さんの中には、いきなり窃盗をしてしまう方がいます。
今までの人格とは打って変わってそのような行動をとってしまうことは、家族や周りの人にとても大きなショックを与えます。
しかし、前頭側頭型認知症の方が窃盗をしてしまうのには、病的な原因があります。
今回は、前頭側頭型認知症の患者がなぜ窃盗に至ってしまうのか、その原因と対策についてお伝え致します。
前頭側頭型認知症(FTD)の方の窃盗例とその原因
前頭側頭型認知症にかかると、いままでの本人からは考えられないような行動をとることが多くあります。
その中の一つの行動に、窃盗が挙げられます。
具体的には、スーパーの中で気になった商品をそのまま手に取ったまま外にでてきてしまいます。
そして、本人に悪気はないので、すぐにその窃盗は見つかってしまうのです。
なぜ、このような窃盗をしてしまうのかの原因は、前頭側頭型認知症の特徴から推測できます。
前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉と側頭葉と呼ばれる部分が萎縮してしまいます。
この脳の部分の中でも、とくに前頭葉の機能は、人間が人間らしく生きるために重要な役割を担っています。
具体的には、意欲関心、感情コントロール、コミュニケーション能力、注意力、思考判断や抑制等です。
前頭側頭型認知症により前頭葉の機能が低下すると、これらの能力が障害されます。
そのため、善悪の判断ができなかったり欲望のコントロールができなくなり、その結果、窃盗などを犯してしまうのです。
これは前頭側頭型認知症という病気によるものですので、本人にはまったく悪気がありません。
窃盗が見つかってしまっても、素直にその場だけで謝り、また同じ窃盗を繰り返してしまうこともよくあります。
前頭側頭型認知症(FTD)の窃盗に対する注意点と対策
前頭側頭型認知症患者の窃盗に対しての対策として、家族が言って聞かせたり注意を繰り返しても、残念ながらあまり効果は得られません。
また、家族の精神的・身体的な大きな負担になってしまいます。
その場合、家族だけでかかえこまずに、まずは主治医にそのようなことがあったことを相談しましょう。
そして、福祉サービスを使って、できる限り多くの人員で、患者をサポートしましょう。
前頭側頭型認知症の患者は、いつも同じような行動をとることが多いです。
窃盗に関しても、同じ店で、同じ商品を繰り返し窃盗してしまうことも多いのです。
患者がいつも行く店や、散歩する道などで見守ってもらえるよう、お住いの地域の人や福祉サービスで支えてもらうことがとても心強いです。
一度、ケアマネージャーに相談をすることも大切です。