認知症で無気力になる人が増えているって本当?
認知症によって「無気力」という状態になる方が、たくさんいらっしゃることをご存知でしょうか?
認知症の症状の中でも、顔を洗う、食事をするといった日常生活の中での動作に気力が無くなった事をアパシー(無気力、無関心)といいます。
ちなみに、鬱(うつ)になった場合も、意欲が低下して無気力のように見えることはありますが、認知症のアパシーとは別物とお考え下さい。
認知症による無気力(アパシー)との違いは、悲しい、落ち込んだ気持ち、憂鬱(ゆううつ)というような沈んだ気持ちになるということです。
ここでは、そんな認知症による無気力に対して、どのように接して行けばよいのかについてご説明します。
認知症の無気力(アパシー)は、どんな状態の時に起きるか?
では、認知症による無気力(アパシー)という状態は、一体どのような時に起きるのでしょうか?
一言で「無気力」と言っても認知症の種類によって、その原因は異なります。
アパシーと呼ばれる症状が多く見られる認知症の種類は「脳血管性認知症」で、脳血管での梗塞が度々見られます。
また、認知症患者には「精神疾患」を併発する方も多いです。
そのため、精神疾患からうつ状態での無気力もあったり、認知症で脳細胞が破壊されて変異が起こりますから、そこからの脳機能低下もあります。
また、以前は出来ていたことができなくなることで「以前これは出来ていたのにナゼ出来なくなったんだろう?」と、どんどん塞ぎがちになることが多くなります。
結果として、少し前まで楽しみにしていた趣味への意欲もまったく無くなってしまうという「無気力状態」もあります。
たとえば、昔から趣味でいろいろな写真をカメラで撮るのが楽しみだったご高齢者が、突然、その意欲がなくなってしまうことがあります。
その他にも、釣りが趣味だった方が、いつも海や川へ出かけていたのに、やらなくなった。
ゴルフが大好きで毎週のようにコースに通っていた方が、休日は家でゴロゴロしているばかりになったなどなど・・・
このような時には、認知症による無気力を疑った方が良いかも知れません。
認知症による無気力についての対処・対策
認知症の方が趣味などに対して無気力になっている場合、大好きだったはずの趣味にもう一度戻れるように協力することは大切なことと言えます。
たとえば、わざと趣味に対しての話題を増やしたりすることで、ご本人の気持ちが前向きになるよう促すと良いでしょう。
もしも、ご高齢者の中で「自分が無気力なった」という時は、あえて外に出て行く回数を増やしたり、趣味のことで人と会う機会を作ることも大切です。
そして、認知症の精神的なうつ状態からくる無気力には、「がんばって」「大丈夫よ」「元気出して」等のような励ます言葉は厳禁です。
認知症の無気力で落ち込んでいる時に励まされても、更に落ち込んでしまう場合があるからです。
もちろん、その様な場合には、本人が自信を無くすような言葉かけも良くなく、マイナスな言動は更に意欲を低下してしまいます。
認知症の方は、いくら薬での治療をしていても、症状はどんどん進んでしまうので、日常的に支援することがとても大切になって来ます。
そのため、無理に出来ない事をさせようとしても、そもそも無理だということを心に留めておく必要があります。
日常生活での家事等、出来る範囲で積極的にやってもらい、周りも一緒に行い、日々の状態を観察すると良いでしょう。
また、洗濯物をたたむ、料理が出来なくても下準備(野菜の皮を剥く)等が出来るのであれば、一緒に台所に立って、明るい話をしながら楽しい気持ちにさせ行うのも大事なことです。
その様な対応で、認知症の進行は緩やかになりますし、残存機能を維持することにも役立ってくるのです。