認知症と難聴の関係性について
認知症の方が難聴になって、会話がなかなか思うように行かなくなるというケースはよくあります。
認知症に限らず、加齢によって足腰が弱くなったり、目が見えにくくなったり、固いものを食べるのが難しくなってきたなど、加齢特有のいろいろな症状は現れてきます。
そして、その中には難聴、つまり、年を取って『耳が遠くなった・聞こえにくくなった』という症状もあります。
これを“加齢性難聴”と呼んでいます。
ここでは、認知症と難聴の関係性についてご説明します。
認知症と難聴の切っても切れない関係とは?
加齢によって難聴になった方は、認知症の発症率が高くなると言われています。
なぜでしょうか?
それは、認知症の予防に大切なことが「人との関わり合いである」と言われているからです。
加齢性難聴の場合、『年を取ったのだから仕方がない』と放っておく人が多いようです。
しかし、難聴を放置していると症状がどんどん進んでいき、耳から情報を得ることができなくなります。
そのため、加齢によって難聴になってくると人との関わりが億劫になってしまい、脳が衰え、やがて認知症を発症することがあるといいます。
また、難聴になるということは、脳への刺激が減少したための認知能力の低下が原因になっているということも考えられます。
そのため、現在では、難聴の高齢者の方が、聴力に異常がまったくない高齢者よりも、認知症になりやすいということはよく知られています。
認知症と難聴に対する対処法は?
難聴の症状が重くなるほど認知症の障害も多くなると考えられますが、“難聴と認知症の関係の研究”から、軽度の難聴でありながらも認知障害を引き起こす確率は高くなっていると言われています。
高齢者の方は聞こえていなかったとしても聞こえたふりをする場合があります。
ですから、『本当に聞こえてるのかな?』と疑問に感じた場合は、早めに診察を受けることが大事です。
時には難聴の原因が“耳垢“のせいだったということもありますし、中耳炎が原因だったという場合もあります。
決して『何回言っても聞こえないんだから!』とか『今何て言ったかもう一度言ってみて!』などと攻めるように言ってはいけません。
人間の聴力というものは『その人の人生が終わるまで聞こえる能力を持つものである』ということがすでに研究でわかっているといいます。
ちなみに、難聴は、早期発見して治療を行ったり、補聴器などで聴覚補償を早めに行ったりすれば、聴覚の維持がされやすいという事実があります。
難聴を疑った場合は、早期の受診と、それに応じた治療が認知症を遅らせると言っても過言ではありません。