認知症とテレビについて
高齢者の方がテレビを見ている時に、認知症が疑われる行動にでることがあります。
一人暮らしの若い人がテレビに話しかけることもよくあるようですが、これはもちろん障害のためではなく単なる癖のようなものでしょう。
ですが、高齢者の方にそのような兆候が現れたら、認知症の妄想のひとつ「テレビ徴候」というものを考えてみる必要があります。
ここでは、認知症とテレビとの関係性についてご説明します。
認知症のテレビ徴候の症状は?
認知症によるテレビ徴候には、症状に大きな特徴があります。
テレビと現実世界の境界がなくなり、テレビの中の人に話しかけたり、「ドラマの中の凶悪犯人が家に来たらどうしよう!」などと本気で怖がったりします。
このほかに、認知症の方が、深夜に大音量でテレビを点けているという状況を見ることがあるかと思います。
これは、認知症に限らず、ひとつに「老人性難聴」によって音が聞こえにくいためとも考えられます。
改善の提案を受け入れるようであれば、「手元スピーカー」を使ったりして夜間の騒音を減らす対策もできます。
あるいは、日中に程よい「疲労感」を与えることで眠りを誘ってもいいでしょう。
また、これらに加えて、テレビばかり見ていると認知症になりやすいというリスクが挙げられます。
それは、情報が与えられっぱなしで、アウトプットをすることがほとんどないからです。
つまり、脳をあまり使うことがないために、認知症になりやすい状況が作られるというわけです。
高齢者の方は、認知症にならないためにも、テレビは適度な視聴を心掛けましょう。
認知症のテレビ徴候への対応は?
認知症の(疑われる)人が、テレビとふつうに会話をしているくらいなら心配することはないでしょう。
ご本人にとって、穏やかに過ごせているのなら無理に説得したり、テレビを消したりする必要はないと思います。
ただ、認知症の方がテレビに向かって大声で怒ったり、物を投げて誰かを追い払おうとしたりすれば大きな事故につながりかねませんし、ご本人の心の負担も重くなるでしょう。
そうなった場合には、対応を考えなければなりません。
これは「妄想全般」に言えることですが、ご本人には現実であるわけですから、説得には応じません。
「大丈夫。心配ない」と安心させながら気をそらせるようにしましょう。