認知症の易怒性

認知症の易怒性ついて

認知症の易怒性

 

認知症の易怒性(いどせい)という言葉をご存知の方は少ないかも知れません。

 

易怒性とは、一言で言えば、とくに怒りをあらわにする性質のことで、認知症の方によくみられる状態のひとつです。

 

あなたは、認知症の方が感情を爆発させやすいと感じたことはありませんか?

 

介護者の方から

 

  • 「うちの祖父は一生懸命介護をしているのに些細なことで怒りだしてしまう」
  • 「いつもいらいらしているから、気をつかう」
  • 「姑がさっきまで笑っていたのに、急に怒鳴られてびっくりした」

 

等という相談をよく耳にします。

 

怒りっぽい人や興奮している人には関わりたくない、というのが人間の本音です。

 

ましてや、一緒に暮らす家族や大切な人が認知症になり、急に不機嫌な態度をとったり、興奮したりという状態が続けば、接することが苦痛になるでしょう。

 

認知症の方は認知機能の低下による不快・不安や混乱により、急に感情を爆発させてしまいます。

 

認知症の方の易怒性は、行動・心理症状として感情と衝動制御の障がいがあり、怒りの衝動を抑えることができない状態です。

認知症の易怒性の原因は?

では、認知症の易怒性の原因は一体どのようなことなのでしょうか?

 

実は、認知症の方にささいなきっかけで怒りが生じる易怒性については、認知症そのものが原因ではありません。

 

もの忘れがある不安や失敗してしまったことを指摘されたこと、またはご本人のそのような思い込みから起こってしまうと理解してください。

 

私たちも日常生活のなかでいらいらすること、腹が立つことがありますよね。

 

認知症の方も同じです。

 

日常生活のなかでいらいらすること、腹が立つことがあれば怒ることもあるでしょう。

 

そういうこともあるよね、と考えればほんの少しでも気持ちが楽になりませんか。

 

認知症は個性です。なるべく易怒性が起こらないように対応して、あなたの大切な人の個性に寄り添ってくださいね。

認知症の易怒性がある方が穏やかに暮らすための方法は?

認知症の易怒性の例として、急に怒りだすYさんの話をします。

 

Yさんは88歳の男性で、1年前にアルツハイマー型認知症と診断されました。

 

現在は奥様とお二人で暮らしておられます。

 

先日、Yさんの奥様から「毎日のように夫が急に怒りだし大声をあげるので困っている」と相談がありました。

 

Yさんは大柄な男性なので、怒鳴られた奥様は大変困惑されたことだろうと想像できます。

 

Yさんと奥様の双方から詳しく話を伺うと、怒りの原因は奥様が浮気をしているのではないかという疑惑でした。

 

Yさんは、とくに携帯電話で話をしているときに、浮気相手と通話しているのではないかと疑っておられました。

 

「ばかにしやがって」という言葉を何度も繰り返されていました。

 

奥様の情報からは、携帯電話を使用しているときにYさんに背中を向けていることが多いと気がつきました。

 

奥様への愛情があるからこそ、疑念が生じてしまいました。

 

また、Yさんは認知機能の低下を自覚しており、浮気=ご自分への非難と捉えてしまったのではないでしょうか。

 

そこで、Yさんと奥様はルールを決めました。

 

ルールはふたつ。

 

  1. 携帯電話を使用するときは背中を向けないこと
  2. 誰と通話をしていたかYさんに伝えることでした。

 

しばらくして、Yさんの奥様から「急に怒りだすことが少なくなった」というご連絡をいただきました。

 

認知症の方が些細なきっかけで怒りだすことを易怒性(いどせい)といいます。

 

易怒性の対応は、認知症の方の不安感・焦燥感・ストレス等の心理的原因を探すことからはじめてください。

 

認知症の方の言動にヒントが隠れています。

 

認知症の方のひとりひとりが違う性格、違う生き方、違う考えを持っています。

 

何を伝えたいのか、何がしたいのかを見極めて、認知症の方と向き合うことが穏やかに暮らすための第一歩となることでしょう。

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