認知症と空腹の訴えについて
認知症と空腹の訴えには、どのような関係があるのでしょうか?
認知症の方は、ごはんを食べたにも関わらず、「ごはんはまだ?おなかが空いたんだけど。」・・・という空腹の訴えをしてくることがよくあります。
これは、ひとつには、認知症による「短期記憶障害」によって食べたことを忘れている状態があります。
それともうひとつは、脳の満腹中枢の機能低下によって、「満腹感を得られていない」ための空腹の訴えと言われています。
どちらの場合も、認知症のご家族や介護者の方にとっては、普通に食べさせているつもりの食事で不満が出てくるわけですから、対処をしないわけには行きませんね。
ここでは、そんな認知症と空腹の訴えについてご説明します。
認知症の空腹の訴えはぞんざいにするな?
認知症の空腹の訴えに対して、ついつい、ぞんざいに扱ってしまうケースは多いでしょう。
食べさせたはずの食事を「もらってない」と言われ、それが毎回毎回、何度も続いたりするわけですから無理もないでしょう。
しかし、他の認知症の症状と同じく、ぞんざいに扱うことは解決に至らないばかりか、症状を悪くすることにも繋がります。
食欲は人間の三大欲求のひとつです。
脳機能が低下しても、本能として食べ物を欲するのは当然のことですし、食事は元来楽しみのひとつのはずです。
ですから、「さっき食べたでしょ!」などとぞんざいに扱われれば、本能的に反発心が現れるのも無理のないことと言えます。
認知症の方の空腹の訴えや言動への対応は、何においてもまずは「否定しない」というスタンスが基本になってきます。
親子など、自我が絡む関係の場合、少し我慢が必要かも知れませんので、サポートなどの力を借りるのも一つの方法です。
認知症の空腹感とその対処法について
認知症の空腹感とその対処法についてご説明しましょう。
医師に食事制限を指示されているのに、どうしても空腹を訴えて食べてしまうという認知症の方がいます。
いくら「お医者さんに止められているから」と言い聞かせても食べてしまうため、ご家族が冷蔵庫に鍵を掛けるまでに至ってしまいました。
苦肉の策なのでしょうが、こうなると人間の尊厳をも損なうことになってしまいます。
言っても理解できない、納得しないのが「認知症の症状」であることを踏まえて、空腹の訴えにもどう対応するかは難しい問題です。
「もう少ししたら食事になるから待っててね。」
と否定も肯定もしないというのもやり方の一つと言えます。
あと、最初から一食分の食事を数回に分けておき、空腹を訴えたときに小出しにしてトータルとして一日分を摂取するように調整することも良いでしょう。
このように、認知症の方の空腹の訴えに対して、個々に合う対応策を見つけることは非常に大切です。
結果的に、ご本人もご家族も少し楽になっていくことでしょう。