認知症で物を集めるのは理由がある?
認知症の方が、いつの間にか大量の「物を集める」という行動に出ていて驚いたというケースがあります。
認知症を発症し進行することによって、すべての人がそうだとは言えないのですが、やたらと物を集めるという“収集癖”を持つ人がいらっしゃいます。
周りからしてみると『なんでこんなものを集めるの?』と疑問に感じてしまうような物、例えばトイレットペーパーや雑誌、お菓子の空き箱や包み紙、ひもなど、どう見ても不要としか思えないものを集めることがあります。
ひどい場合は、ゴミや汚物までも集める人がいるようです。
ここでは、そんな認知症の方が物を集めるという行動についてご説明していきます。
認知症で物を集める原因とは?
認知症の人が物を集めるのは、どうしてなのでしょうか?
今から何十年も前で、今ほど認知症の研究がされていなかった頃に聞いた話ですが・・・
友達のおばあちゃんに収集癖があってトイレットペーパーと一緒に自分の便をタンスの引き出しに大事に入れていたそうです。
その頃、まだ子供だった私は『げー!何でそんなものをタンスにしまっておくんだろう?』という気持ちが強かったのを強烈に覚えています。
しかし、今になると『認知症のために物を集めるのには何か理由があるのではないか』と思うようになりました。
それでいろいろと調べて見て分かったのが、まずは、認知症になると判断力が低下することから「物を集める」という行動に出ます。
さみしさや不安を解消する代償行為というケースもあるようです。
また、認知症の中核症状の一つに「記憶障害」というものがあります。
アルツハイマー型認知症では、初期症状として記憶障害が現われます。
アルツハイマー型認知症では 脳の異変によって海馬の働きに障害が起こり、 新しいことが覚えられなくなるのです。
つまり、いろいろな物がある中で、それが必要な物なのか、不要なものかという判断がつかなくなってしまうのです。
認知症で物を集める場合の対応は?
認知症の人が物を集めるという収集癖には、一見理解できないような物を意味もなく集めているようにも思えます。
ところが、実は認知症のご本人にとって見れば、物を集める“きっかけ”というものがあるようです。
たとえば、それが実際にご本人が大切にしていた物や、人を失ったことが引き金となっている場合にも多くみられるようです。
また、それ以外にも、孤独感や寂しさなどから、無意識に周りの人の関心をひきたいということが引き金となっていることもあるようです。
それなのに、「そんな物は必要ない!」と頭ごなしに否定したり、本人が見ている前で処分してしまえば、「大事な物を捨てられた!酷いことをされた!」という思いだけが残り、症状を悪化させてしまいます。
理論的に必要ないことを教えようとしても、解決に至ることはないと考えてください。
介護している人は“できるだけ許してあげる”という気持ちを持つこと。
そして、不用なものや汚物などが集められているのがわかった場合は、本人の知らないうちに捨てるという対応が理想的な対応だと考えられます。