脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の違いについて
脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の違いはなんですか?
こう質問をされて、一般人の中ですぐに答えが出る人は、あまり多くはいらっしゃらないと思います。
認知症という大きな括りでは理解できても、脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の症状や原因の違い、対処法などの違いについては、なかなか知る機会が少ないですからね。
ここでは、脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の違いについてご説明します。
脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の違いを理解する
では、脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の違いを理解するために、それぞれの症状は特徴について見てみましょう。
まず、脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの「脳血管障害」が原因で起こる認知症です。
脳卒中発作後の脳の損傷の部位や、その程度であらわれる症状も違ってきます。
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血を繰り返すことによって、段階的に症状が進行することが多いです。
脳血管性認知症は、アルツハイマー型認知症についで多い認知症で、全体の約20%を占めていると言われています。
脳のダメージを受けた部位によって認知症の症状が違い、身体機能の低下をともなうことが多いです。
脳血管性認知症は、アルツハイマー型認知症にくらべて「判断力」が保たれている傾向があります。
一方、アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、全体の約5割ほどを占めています。
アルツハイマー型認知症は、部分的に脳が損傷される脳血管型認知症とは違い、「大脳皮質全体」が萎縮する病気です。
遺伝する場合もあります。
アルツハイマー型認知症の方は、脳血管性認知症の方と違い、判断能力が早くから低下します。
たとえば、調理中に調味料の量の判断や、材料を何にするかの判断もできなくなります。
私の母は認知症初期の頃、すき焼きにブロッコリーを入れたり、砂糖と塩を入れ間違えることがよくありました。
野菜の中の一つとわかっていても、キャベツとブロッコリーの区別ができなくなります。
抽象能力と判断能力の障害は、脳の細胞が壊れることの中核症状と言われています。
脳の損傷が「一部」か「全体」かによって、こういった中核症状に違いがでてくるようです。
脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症への対処のちがいは?
脳血管性認知症は男性に多く、アルツハイマー型認知症は女性に多いと言われています。
脳血管性認知症は、脳血管障害などの生活習慣病が原因で起こる認知症です。
「まだら認知症」といわれるように、日によってできることできないことが違っていたり、症状の出方も脳の損傷によって違ってきます。
脳血管性認知症の方は、リハビリによって改善が見られることもあり、生活習慣の見直しや食生活の改善で予防ができます。
また発症しても、投薬などでの治療が可能な場合もあります。
一方、アルツハイマー型認知症は、若年性の場合など一部で遺伝性のものもありますが、薬の服用で進行を遅らせることは可能です。
ただし、残念ながら完治する治療法は、今のところ見つかっていません。
どちらの認知症も早期発見が大切ですが、喫煙や飲酒、高血糖は発症リスクを高めると言われています。
脳血管性認知症もアルツハイマー型認知症も、生活習慣の改善が「認知症予防」につながるといえるでしょう。