脳血管性認知症で徘徊するのは、どうして?
脳血管性認知症の方が「徘徊」をするようになったと、頭を抱える介護者の方がいらっしゃいます。
しかし、脳血管性認知症という病気から考えると「徘徊」という状態は、実は起こりにくいと言えます。
脳血管性認知症は、脳梗塞などの脳血管障害が原因で起こります。
脳のどの部分に損傷があるかによって認知症の出現の仕方も違ってきますが、アルツハイマー型など他のタイプの認知症にくらべると、知性の面では低下が遅いと言われています。
そのため、「徘徊」や「せん妄」も起こりにくいと言われているのです。
では、なぜ、脳血管性認知症による「徘徊」が起きてしまうのでしょうか?
ここでは、脳血管性認知症による「徘徊」の原因と対処法についてご説明します。
脳血管性認知症と徘徊~私の体験談~
脳血管性認知症によって徘徊が起きるのは、どんな時でしょうか?
まず、理解する必要があるのが、脳血管性認知症の方とアルツハイマー型認知症の方との違いは、ある程度自分の居場所がわかっているということです。
ですので、脳血管性認知症の方が徘徊するときは、目的をもって動いているということです。
私が施設勤務をしていた時、施設からいなくなった脳血管性認知症の利用者さんがいらっしゃいました。
「徘徊?」と思って近隣を探しましたが、見つかりませんでした。
しばらくして、歩いて1時間以上かかるその方の住んでいらっしゃったアパート付近に立っているところを発見されました。
見つかった時、その方は「家に帰りたかった。」と、おっしゃっていました。
その方は、たいてい夕方になると、上着を着て鞄を持ってでかけようとされていました。
脳血管性認知症による徘徊というよりは、家に帰る目的をもって動かれていました。
脳血管性認知症による徘徊には、どう対処する?
脳血管性認知症の方が徘徊されるときは、行き当たりばったりで動かれるのではなく、何かしら目的があるということを理解する必要があります。
ですから、まずは傾聴して何がしたいのか、どこへ行きたいのかを知ることが大切です。
そして、脳血管性認知症の方が、家に帰りたいと思うときは、その方の居場所を作ることが先決だと思われます。
私たちは、まず脳血管性認知症の利用者さんの特技は何かを考えました。
その方は、知能低下はあまり見られず、将棋や囲碁が得意でした。
徘徊防止策として考えたことは、他の利用者さんや職員で、囲碁や将棋対決することでした。
夕方、脳血管性認知症の利用者さんが身支度してでかけようとされるとき、必ず通る場所で囲碁や将棋対決をしていました。
ずっと続けていると、いつの間にかその利用者さんは、囲碁や将棋に夢中になり、徘徊行為はなくなったのです。
もちろん、脳血管性認知症の方が皆さん同じわけではないでしょう。
しかし、徘徊行為が問題となったときには、その目的は何なのかよく話を聞いてみると分かることがよくあります。
脳血管性認知症の方が、出かけようとするときに、無理に止めようとせず、お話しながら一緒に散歩するのもよいと思います。
ストレス発散とよい運動にもなりますからね。