アルツハイマー型認知症と記憶障害の関係について
アルツハイマー型認知症と言えば「物忘れ」というイメージをお持ちの方は多いと思います。
記憶障害と呼ばれる症状が、それにあたります。
アルツハイマー型認知症は、脳の海馬付近が侵されるため、記憶障害が起こりやすいのです。
記憶障害による物忘れは、アルツハイマー型認知症の最初の兆候なのかもしれません。
ここでは、アルツハイマー型認知症の記憶障害についてご説明します。
アルツハイマー型認知症の記憶障害は主に5つ
アルツハイマー型認知症の方の記憶障害は、大きく5つに分かれます。
順番にご説明しましょう。
短期記憶障害
これは分かりやすくというと「新しい記憶」に対する記憶障害です。
たとえば、アルツハイマー型認知症の方は、今日の日付や今どこにいるのかがわからなくなったりします。
また、さっき置いた物の置き場所がわからなくても、いつも探し物をしているといったことが多くなります。
長期記憶障害
これまでに体験してきた記憶への記憶障害のことです。
自分が通った学校や自分の職業など、自分が当然知っているはずのものが思い出せません。
アルツハイマー型認知症の方は、結婚したことや家族の名前も忘れてしまうことがあります。
エピソード記憶の障害
体験したエピソードの記憶に対する障害です。
アルツハイマー型認知症の方は、本人が体験したことが抜け落ちてしまい、周囲と話がかみあわなくなります。
手続き記憶の障害
身体で覚えたことに対する記憶障害です。
日常生活での調理などの記憶や自転車の乗り方などです。
一般的に、これは失われにくい記憶と言われています。
アルツハイマー型認知症が進行すると、調理や洗濯物のたたみ方なども忘れてしまいます。
意味記憶の障害
言葉の意味や一般常識的な記憶の障害です。
アルツハイマー型認知症の方は、物の名前を忘れるので、「あれ」「それ」と口にすることが多くなります。
アルツハイマー型認知症の記憶障害への対処はどうすれば良い?
アルツハイマー型認知症の記憶障害に対しては、どのように接すれば良いのでしょうか?
アルツハイマー型認知症の初期のころは、「なぜ私は忘れるのだろう?」と自分を責めたり、不安になったりとご本人にとって葛藤の日々が続きます。
ですから、家族や職員は、ご本人が忘れても決して責めたりしないことが大切です。
ご本人の気持ちを察して、穏やかに接して不安を和らげてあげてください。
アルツハイマー型認知症の記憶障害が進行すると、生活に支障が出ることが多くなります。
そんなときは、家族がタンスや冷蔵庫、カレンダーなどにメモや張り紙等をすることも良い方法です。
一緒に見ながら、「ここには、何が入っているよね。」と、ご本人に、メモを書いてもらうのもいいと思います。
アルツハイマー型認知症の初期のころは、ご本人に毎日簡単な日記を書いてもらうのも良い方法です。