アルツハイマー型認知症の意識障害について
アルツハイマー型認知症の方には、意識障害という症状が現れることがよくあります。
「βアミロイド」というたんぱく質が脳に蓄積することで、神経細胞が変化を起こし、脳を萎縮させていくのがアルツハイマー型認知症です。
そんなアルツハイマー型認知症の方に見られる軽い意識障害の一つとして、せん妄があります。
特に、夜に起こる意識障害の症状のことを、「夜間せん妄」と言います。
ここでは、アルツハイマー型認知症の方に多く見られる意識障害「せん妄」についてご説明します。
アルツハイマー型認知症の意識障害「せん妄」とは?
アルツハイマー型認知症の方に多い意識障害「せん妄」とは、具体的にどのようなことが起きるのでしょうか?
アルツハイマー型認知症の方に限らず、意識障害(せん妄)は、脳疾患や代謝障害、呼吸疾患のある方にもしばしば見られます。
また、パーキンソン病薬や向精神薬などの薬の副作用でも起こり得ます。
この意識障害(せん妄)が起こると、幻覚が見えたり、声をかけても落ち着かずに、興奮状態になったりします。
アルツハイマー型認知症の方は、今いる場所や時間などの認識に障害があり、不安な中で過ごされています。
その上、脳の機能低下で感情を抑えきれなくなって、暴言や暴力などの行為に発展することもあります。
アルツハイマー型認知症の方の意識障害(せん妄)は、環境が変わったことへのストレスで起きることがあります。
たとえば、施設入所や入院、お引越し等です。
睡眠不足や昼夜逆転なども、意識障害の原因の一つです。
上記の点に注意して、アルツハイマー型認知症の意識障害に目を向けることが大切です。
アルツハイマー型認知症の意識障害(せん妄)には、どう対処する?
アルツハイマー型認知症の意識障害である「せん妄」には、どう対処すればよいのでしょうか?
まず、アルツハイマー型認知症の方に意識障害(せん妄)がでているときは、頭の中はぼーっとしていて、興奮状態であっても、まわりの人の声が聞こえていないときが多いです。
そのため、ゆっくり穏やかに話しかけることや、幻覚が見えていても、否定はしないことが大切です。
私が施設勤務の時、アルツハイマー型認知症の方の意識障害(せん妄)がでている方で、他の利用者さんに暴力行為をされる方がいました。
相手の方の言葉遣いや行動にイライラして、追いかけてきて、つかみあいになりかけることもありました。
職員は間に入るのと同時に、アルツハイマー型認知症の方のまわりに危険なものは置かないよう配慮しました。
ご本人のケガにもつながりますから。
アルツハイマー型認知症の方は、昼夜逆転も多いです。
意識障害(せん妄)をなくすためにも、起きていられる環境づくりを心がけましょう。
一緒にお散歩したり、洗濯物たたみをするのもいいと思います。
アルツハイマー型認知症の方と関わる時間を多くもつことが、意識障害に対しても大切だと思います。