アルツハイマー型認知症の症状 失語について
アルツハイマー型認知症の症状である「失語」に対して、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
「失語=言葉がしゃべれない」
というイメージの方が多いでしょうから、きっとペンで書いたり、ジェスチャーをすれば事足りると思う方もいらっしゃるでしょう。
ところが、アルツハイマー型認知症による「失語」というのは「中核症状」の一つですので、そう簡単ではありません。
ここでは、アルツハイマー型認知症の症状である「失語」についてご説明します。
アルツハイマー型認知症の症状「失語」の状態とは?
アルツハイマー型認知症の症状で「失語」がある時、脳はどのような状態なのでしょうか?
アルツハイマー型認知症は、脳の「神経細胞」が死滅し、脳が萎縮する事で、知能や身体機能が全体的にゆっくりと低下していきます。
アルツハイマー型認知症の診断基準の中には、「記憶を含む複数の認知機能障害」とあります。
これは、認知症の「中核症状」と言われ、その中に「失語」があるのですが、アルツハイマー型認知症が中期に入ってくると出現します。
記憶を含む認知機能障害
- 失語(言葉がなかなか出てこない。聞く・話す・書く・読むなどの言語機能低下する)
- 失行(やり方が分からなくなる。洋服の着方が分からない等)
- 失認(人の顔が分からない。味が分からない。距離感が分からない等)
- 実行機能障害(普段当たり前の行動が出来なくなる。スプーンや箸が使えない等)
アルツハイマー型認知症は、この中期の時が一番大変な時期と言えます。
アルツハイマー型認知症の症状「失語」に対する接し方や注意点
アルツハイマー型認知症の症状で「失語」になった場合、それに対する接し方や注意点には、どのようなものがあるのでしょうか?
まず、アルツハイマー型認知症で失語の症状があっても、全てが分からなくなるという訳ではありません。
言葉の数や表現力は少なくなりますが、キチンと考えて「返答」も出来ます。
言葉で伝わらない時には、絵や写真を使い、ゆっくりと出来るだけ「短い言葉」で伝えると理解出来ます。
アルツハイマー型認知症になった時は、そのようなことを何度でも、諦めず説明して下さい。
アルツハイマー型認知症も含め、認知症になってしまった人は、言語的コミュニケーションよりも「非言語的コミュニケーション」で物事を受け止めている事が多いのです。
つまり、顔の表情や声色、ジェスチャー、態度などがそれにあたります。
- 自分の事を好きか嫌いか?
- 自分の味方か敵か?
それを、感覚的に瞬時に感じ取るのです。
「人を見る力」は高齢である人の方があります。
私たちの口先の説明は、意外とすぐに見破られます。
頭で理解できない分は、五感を最大限に使い、有益かどうかを見ていますので、心のこもった対応が求められます。
アルツハイマー型認知症の患者さんには、諦めずに「できる事からはじめる」ということを意識して接しましょう。