アルツハイマー型認知症は遺伝が原因なのか?
アルツハイマー型認知症の原因が遺伝という話がありますが、実際どうなのでしょうか?
アルツハイマー型認知症の遺伝について考えるにあたり、使われている病名や言葉についての整理をしてみたいと思います。
まず、アルツハイマー病とアルツハイマー型認知症とは、まったく同じではありません。
どういう関係にあるかというと、アルツハイマー型認知症というのは「アルツハイマー病が原因となる認知症である」と説明されています。
言い換えると、解明できていないものも含め、いくつかの認知症の原因の一つに、アルツハイマー病というものがあると言うことです。
しかも、アルツハイマー病の原因となるものは、未だはっきり分かってはいません。
ただし、原因の一つとしてアルツハイマー病を引き起こす遺伝子があると言うことは、分かっています。
つまり、今は、その遺伝子を特定する研究段階であるということです。
この段階でいえるのは、アルツハイマー病は、遺伝する可能性があるということです。
アルツハイマー型認知症の原因に遺伝があるという理由は?
アルツハイマー型認知症が遺伝するとすれば、どんな状況がそのことを示すのでしょうか?
ほとんどのアルツハイマー病は、60歳以降、70~80歳ぐらいに発症します。
しかし、珍しいことですが30~40歳頃の比較的若い年代でも、アルツハイマー型認知症を発症することがあります。
「若年性アルツハイマー」と呼ばれていますね。
また、アルツハイマー病の患者が、多くいる家系も存在します。
このような場合は、アルツハイマー病を引き起こす遺伝子が引継がれたと考えられるかも知れません。
実際、専門医は診断の際、必ず患者に対してこう質問するそうです。
「家族や親戚にアルツハイマー病と診断された方はいませんか?」
アルツハイマー型認知症の原因が遺伝であるという実験
前述したような専門医が質問をしつつ「家族性アルツハイマー病の家系」を発見して、遺伝子の検査を行なった例があります。
それで、どんなことが分かったと思われますか?
1990年代から世界中で始まったこうした研究の結果があります。
アルツハイマー病の原因の一つとされる「アミロイド前駆体たんぱく質」の設計図となる遺伝子をはじめ、三種類の特定の変異した遺伝子があるという事が明らかになったそうです。
そして、この三種類の遺伝子のどれかが、家族性アルツハイマー病の患者の約半数に見られたということです。
他の患者には未だ特定の遺伝子は見つかっていないようですが、この三種類以外にも発症の原因となる遺伝子があることは、間違いないとされているのです。
こうした理由から、アルツハイマー型認知症の原因に遺伝がある可能性は否定できないと言えそうです。
ただ、それは比較的若い年代で発症した患者に、医師が「家族性アルツハイマー病」であると診断した状況の時に限りますので、お間違えのないようお願いします。