アルツハイマー型認知症が夕方に現れるって?~夕暮れ症候群~
アルツハイマー型認知症の症状が夕方に現れるのですが・・・という介護者の方をよく見かけます。
それまでは、何の反応も示さなかったアルツハイマー型認知症の患者が、夕方になると、いきなり「帰りたい」と言い始めるというのです。
おそらく、ご経験されている介護者の方も多いのではないでしょうか?
ここでは、アルツハイマー型認知症の症状が夕方に現れる「夕暮れ症候群」についてご説明します。
アルツハイマー型認知症が夕方だけ?(夕暮れ症候群)原因について
アルツハイマー型認知症で夕方に症状が現れるのは、なぜでしょうか?
アルツハイマー型認知症では、場所や時間の認識がない、近時の記憶がないなどの様々な生活障害が現れます。
中でも、夕方になると帰宅願望が強くなり、「帰らせていただきます。」と、自宅や施設から出ていこうとされる症状が出てきます。
これはアルツハイマー型認知症に多い「夕暮れ症候群」とも言われる症状です。
なぜか夕方になると落ち着きがなくなり、不穏状態になります。
人に対しても誤認されているため、家族がいても夕方になると、馴染みのある昔の家に帰ろうとされます。
原因は様々でしょうが、夕方は忙しい時間という認識があるのだと思います。
私の母もそうでしたが、「もう夕方じゃない。帰ってご飯の用意をしなきゃ。」と、そわそわしだすのが決まって日が暮れだす夕方でした。
アルツハイマー型認知症の方は、夕方のせわしない雰囲気が敏感に察知できるのかもしれません。
アルツハイマー型認知症が夕方だけ現れた(夕暮れ症候群)~私の体験~
アルツハイマー型認知症の症状が夕方にだけ現れる、夕暮れ症候群になった場合の対処についてお伝えします。
・・・と言っても、私の母の話ですが、夕方に私が夕食準備していると、毎日のように夕暮れ症候群の症状がでていました。
施設でも、アルツハイマー型認知症の方は夕方になるとそわそわし始めます。
そんな時、私は母の大好きな「大人の塗り絵」をしてもらっていました。
最初は、色鉛筆で一心に塗りはじめ、楽しそうにしていました。
アルツハイマー型認知症の症状として、集中力の低下がありますので長い時間は続きません。
しばらくすると、「もう夕方だから…」と、荷物をまとめだします。
私は少しの間、昔を回想するようなお話をして間を持たせます。
しかし、どうしてもだめなときは、一緒に外に出ます。
アルツハイマー型認知症の症状である短期記憶の障害のせいか、しばらくお散歩すると、さっきまで口にしていた「夕方だから」の言葉はでなくなりました。
そして、どこに行こうとしていたのかも忘れてしまっています。
その後、すんなり帰宅し、楽しく夕食を摂りました。
アルツハイマー型認知症の方にとって、夕方は、昔を思い出させる特別な時間なのかもしれません。
介護者も、夕方のアルツハイマー型認知症の方の気持ちに共感し、決して否定せず接することが大切なのだと思います。