アルツハイマー型認知症の作話(作り話)について
アルツハイマー型認知症の方が、よく現実には起こっていない「作り話」と取れるようなこと(作話)を話されることがあります。
アルツハイマー型認知症の私の母も、
「夜中に田中さんとようこちゃんが遊びに来て、ずっと一緒に話してたよ。」
などと言うことを、ふつうに言っていました。
もちろん、夜中ですからだれも来るはずもありません。
「作話」とも言われますし、聞いてる側は「また、作り話をして…」と思ってしまいます。
ここでは、アルツハイマー型認知症の作り話(作話)についてご説明します。
アルツハイマー型認知症で作り話(作話)をする理由は?
アルツハイマー型認知症の方が作り話(作話)をするのは、ナゼなのでしょうか?
実は、周りには作り話(作話)に見えても、アルツハイマー型認知症の方にとっては作り話ではありません。
実際に、見えているし聞こえているのです。
アルツハイマー型認知症の方の記憶が前後していたり、いないはずの人が見えていたりすることで、作り話と受け取られてしまうのです。
私が介護をしていたアルツハイマー型認知症の方がよく、このようなことを言っていました。
「昨日は息子の彼女たちが大勢来てね。大騒ぎやったけど、片付けもしないで帰っていったのよ。今の若い者はどうなっとるんかね。」
そのアルツハイマー型認知症の方がは、けっこう怒って、そのお話をされていました。
毎晩のように誰かが家に来ていると言うのです。
作り話ではありません。
アルツハイマー型認知症の方には見えているのですから。
アルツハイマー型認知症の作り話(作話)には、どうやって接する?
アルツハイマー型認知症の方が作り話(作話)をされるとき、どのようにして接すれば良いのでしょうか?
家族の中には、アルツハイマー型認知症になった親の、病気の症状を受け止めきれずにいる方もいます。
つい、「そんなことあるわけない。また、作り話をして!」と、怒ってしまいます。
アルツハイマー型認知症の方は、他にも様々な症状が出るため、初期のころは、自分の失敗に気持ちは落ち込んでいるはずなのです。
その上、実際に見えているのに「作り話」と怒られていては、なおさら畏縮し、アルツハイマー型認知症も進行してしまいます。
アルツハイマー型認知症の方に対しては作り話(…のように感じる)に限らず、介護する側は、むやみに怒ったり責めたりしないことです。
何度も同じこと(作話)を言われても、辛抱強く耳を傾けることが大切なのです。
つまり、アルツハイマー型認知症への理解が大切だということです。
「あの人が財布を盗っていった。」という、もの盗られ妄想が出る方もいらっしゃいます。
こちらも現実ではなく、「作り話」となってしまいますが、こういうときもむやみにご本人を責めるべきではないのです。
たとえば、一緒に財布を探したり、落ち着くまでお話を聞いたりと、アルツハイマー型認知症の方の自尊心を傷つけない方法で対応することが大切です。