レビー小体型認知症による錐体外路症状について
レビー小体型認知症による錐体外路症状(すいたいがいろしょうじょう)と言われても、ピンと来ない方がほとんどだと思います。
私たちの身体は、脳からの司令を受けて動いていますが、司令が身体に到達するまでに通る経路があります。
このうちのひとつが錐体外路と呼ばれており、主に無意識の運動の司令が通る経路です。
レビー小体型認知症では、この無意識の運動に障害が出ることがありますが、それが錐体外路症状と呼ばれます。
ここでは、レビー小体型認知症による錐体外路症状についてご説明します。
レビー小体型認知症による錐体外路症状ってどんなもの?
レビー小体型認知症による錐体外路症状では、無意識の運動に障害が出るということは前述しました。
無意識の運動とは、誰かにぶつかった時や転びそうになったときにとっさに足を踏み出してバランスを取ったり、スムーズに身体を動かすために筋肉などの微調整等を行うというものです。
錐体外路症状とは、錐体外路が障害され、これらの無意識的な運動が上手く行えない状態のことを指します。
そんな錐体外路症状が、レビー小体型認知症の方には現れるケースがあるのです。
具体的には、バランスを崩したときに立ち直れずに転んでしまう・スムーズに歩けない・手足が震える・身体に異常な力が入るなどの症状が現れます。
レビー小体型認知症の方に、このような症状が現れた場合、錐体外路症状を疑った方が良いかも知れません。
レビー小体型認知症による錐体外路症状の対策や注意点
それでは、レビー小体型認知症の方に錐体外路症状が出現してしまった際にはどのような点に気をつければ良いのでしょうか?
また、症状に対する対策はどのようなものでしょうか。
まず、気をつける点としては、錐体外路症状が出現してもレビー小体型認知症の本人の意識はハッキリしているということです。
意識がハッキリしているということは、本人は錐体外路症状で身体を上手く動かすことができないもどかしさを抱えているという点です。
想像してみて下さい。
動こうと思っても思い通りに身体が動かなかったり、歩きたくてもスムーズにあるけなかったら、とてももどかしくてイライラしますよね。
このもどかしさを、レビー小体型認知症の方が抱えていることをつねに理解し、上手く動けなくても急かしたり責めたりしないようにしましょう。
レビー小体型認知症による錐体外路症状の対策として有効なのは、目と耳を使うことです。
少しわかりにくいですが、しるしを付けたり、音で合図することが、錐体外路症状には効果的とされています。
例えば、歩きにくい際には、床の線をまたぐようにして歩くと、足が出やすくなります。
また、手拍子でリズムをとっても、歩きやすくなります。
そして、震えや身体の強張りが強い際には、薬の副作用や量が合っていない場合があるので、一度主治医に相談してみましょう。