レビー小体型認知症による幻覚症状について
認知症には様々な種類がありますが、その中でもレビー小体型認知症では「幻覚症状」が目立ちます。
幻覚症状とは、実際には見えないものが見えてしまったり、聞こえないものが聞こえてしまったりする症状です。
前者のことを「幻視」、後者を「幻聴」と呼びます。
レビー小体型認知症の方を介護し始めたばかりの方は、この幻覚への反応に対して驚くことも多いようです。
ここでは、レビー小体型認知症による「幻覚症状」についてご説明します。
レビー小体型認知症で幻覚が現れるときの症状は?
レビー小体型認知症の幻覚には、どんな症状があるのでしょうか?
幻覚の中でも、とくに「幻視」の具体的な例を挙げると、
「肌の上を虫が這っている」
「女の子が窓の外からこっちを見ている」
「部屋の中をネズミがちょろちょろしている」
など、はっきりと具体的なものを訴えることが多いです。
実際にはないものですが、レビー小体型認知症のご本人にははっきりと見えているので、こちらが否定しても、見えたものを疑うことはありません。
では、レビー小体型認知症にかかるとナゼ、このような幻覚が現れるのでしょうか?
その原因は「脳」にあります。
レビー小体型認知症では、「レビー小体」という異常なたんぱく質のかたまりが、脳の組織に沈着してしまいます。
このレビー小体が、脳の「視覚」をつかさどる部分に沈着することで、幻覚とくに幻視が現れるのです。
レビー小体型認知症の幻覚症状には、どう対処すればいいの?
では、レビー小体型認知症による幻覚症状に対して、私たちはどのように対処すれば良いのでしょうか?
レビー小体型認知症による幻覚症状に誤った対応をしてしまうと、本人の混乱を助長したり、興奮して怒り出してしまうこともあるので注意が必要です。
以下に、幻覚症状への対処のポイントをお伝えします。
レビー小体型認知症の幻覚を頭ごなしに否定してしまうと、「否定された、バカにされた」といった、責めら れているような気持ちにさせてしまいます。
また、実際には見えないものでも、本人にとってははっきりと見えているものなので、その気持ちを汲んであげることが大切です。
レビー小体型認知症による幻覚は、本人にとって不快であったり、恐い思いをさせるものがほとんどです。
一緒にいる私たちは、そばに寄り添い、「大丈夫」と安心させてあげることが大切です。
私たちが、レビー小体型認知症の方の幻覚を否定しても、本人にとっては確実に見えているものなので、幻覚はなくなりません。
幻覚を消そうとするのではなく、話をそらしたり、場所を変えたりして、気をそらせましょう。