ユマニチュードで認知症ケアについて
ユマニチュード(Humanitude)という言葉を始めて耳にしたという方は多いと思います。
ユマニチュードは、30年以上前にフランスで考案された認知症ケアのメソッドです。
このメソッドは、特別な治療を必要としない、技術を習得すれば誰にでも行うことのできるものなのです。
ユマニチュードの単語の中に「Human=人間」という言葉が入ってることからも、「対認知症患者」というスタンスではなく「対人間」という関係性で成り立つものと言えます。
認知症による暴言や暴力、介護拒否などを起こしている方々に効果が期待されるものです。
認知症ケアのメソッド ユマニチュードの基本
ユマニチュードのやり方や、認知症の方への声掛けについてご説明しましょう。
まず、「目は口ほどにものを言い」というように、優しく見つめるまなざしは信頼を得る最良の方法となります。
次に「髪を梳かしましょうね。」とか「歯を磨きましょうね。」などと、たとえ相手が無反応でも「伝わっている」と確信しながら声を掛けていきます。
そして、静かに声をかけながら体に触れます。
この時、いきなり無言で触れられたとしたら、驚きは健常者以上のものになるので要注意です。
また、触れるとはかけ離れた「つかむ、握る、叩く」などのような激しいスキンシップは避けるべきですし、横や後ろからの声掛けも必要以上に驚かせてしまいます。
最後に、人間は自分の足で立つことに尊厳さえも感じることがあります。
そこで、無理のない範囲で「立つ」という行為を常に取り入れていきます。
じつは私も研修の時、ベッドに寝たままで洗髪をされる役をしたことがありますが、これには違和感と羞恥心のような感情を抱いた覚えがあります。
介護の基本は「ご本人の尊厳」の重視です。
これを礎にしたユマニチュードというメソッドは、非常に納得のいくものと言えるでしょう。