認知症と編み物について
認知症予防には手先、特に「指」を使うことが効果的であると昔から言われています。
これは、現在においても変わらない認知症への効果的なアプローチと言えます。
そして、そのひとつに編み物があります。
編み物は、編み針と毛糸があれば誰にでもできるものですし、むかし経験したことのある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
経験者であれば、過去の記憶を呼び起こすことで「回想法の効果」も期待できます。
また、編み針を使わず、指を「編み針」代わりに使う編み物(指編み)もあります。
この方法は、編み針を持たせるにはちょっと不安がある方や、細かい作業が不向きな方にはおすすめです。
認知症に対する編み物の効果
編み物は、まず完成形をおおまかに思い浮かべますが、ここですでに想像力を発揮するために脳細胞は働いています。
そして、編み物の本や写真などを見ながら「こういうのが編みたい。こんなのが編めたら素敵。」などという会話も弾むと思います。
この段階では、意欲の向上や楽しさという感情が湧き上がります。
次に編み始めるわけですが、手先を動かすということは「作業療法的」な効果も期待できますし、編み目を間違えないように編もうとすることで集中力も出てきます。
もちろん、中には「自分は手先が不器用だから嫌だ。」とか「こういう細かいことは苦手だ。」などとネガティブな発言をする方もいらっしゃいます。
ところが、実際に編んでいくと、口とは裏腹に楽しそうな感じが見て取れます。
文句を言うのは認知症のせいだとわかっていれば、こちらも前向きに誘導することもできます。
そして、完成品を前にして、喜びや達成感を一緒に得られるわけです。
ただ、逆に、夢中になって編み続けても疲れを訴えない方もいらっしゃいます。
ですので、そこは適度に休憩を取ったり、頃合いを見て編み物を終わらせたりしましょう。