絵本でケアする認知症について
認知症を絵本でケアする方法についてご説明します。
「読み聞かせ」というと、子供に絵本を読んで聞かせるものと思いがちですね。
ところが、認知症の予防やケアのために読み聞かせをすることにもメリットがあるのです。
軽度の認知症の場合は「読み聞かせる側」、つまり認知症であるご本人が、第三者に絵本を読み聞かせるということをおすすめします。
なぜなら、「目で文字を読み取って脳へ伝え、今度はそれを言葉にして声に出す」という流れがあり、脳を刺激することができるからです。
しかも、相手(子供)に内容をきちんと伝えるために、脳はまず自分が意味を理解しようと働きます。
その上、ふだん使わないような言葉や言い回しが出てきたり、登場人物になりきって、抑揚や声色を変えて読むこともあります。
そんな一連の行為が脳を活性化するのです。
逆に、読み聞かせられる側になった場合は、懐かしい昔話なら子供の頃を思い出していろいろな感情が沸き起こり、「回想法」のような効果も期待できます。
また、ストーリーのワクワク感を味わったり、言葉を理解しようと脳が働いたり、きれいな絵を見れば心が動いたりと様々な反応が得られます。
認知症ケアのために読み聞かせる絵本の選び方
認知症ケアのための読み聞かせで選ぶと良い「絵本のタイプ」についてご説明します。
認知症の方が難なく読めるようにするためにも、単純でわかりやすい設定とストーリーがいいでしょう。
具体的には、動物や物が擬人化されたものは、「なぜ動物が服を着ているのか?」などの疑問が先立ってしまいます。
また、SFやファンタジーなどでは、設定そのものの理解ができません。
やはり、懐かしい昔話や、ハッキリとした色使いの絵本(写真集)などがおすすめです。
ハッキリした色合いやキレイな花の写真などは、直感的に理解できますから脳へダイレクトに入ってくるのです。
実際に、認知症の方に見せると、目を輝かせる方なども多いですよ。
何はともあれ、高齢者への読み聞かせも子供にするときと同じように楽しんでもらうのが一番効果的です。