回想法で認知症ケアをするために
認知症の方は、ついさっきのことを忘れてしまう「短期記憶障害」があります。
ところが、昔のこと(長期記憶)は覚えているもので、子供の頃に歌った唱歌などはいくつになっても歌えますし、戦時中に体験した出来事もはっきりと覚えていたりします。
また、会話をはじめとしたコミュニケーションの取れないお年寄りが、青春時代に歌ったであろう懐かしい歌謡曲を耳にして、涙を浮かべることもありました。
つまり、あえて「回想法」と銘打たずとも、日常の会話やふれあいの中で、昔を思い出せる話題を振っていくのも効果的なことなのです。
思い出を認知症ケアに使う回想法とは?
回想法とは、文字通り過去を回想することです。
心の平穏を保ち、若かった頃の自信を取り戻し、認知症の進行を緩めていく方法と言えます。
回想法は、聞き手と認知症の方と一対一で行う場合と、数人のグループで行うという2パターンがあります。
一対一の場合は、ご本人に思い出を語ってもらいます。
昔の写真を見ながら質問してみたり、古い映画や音楽、芸能人のことや仕事のことなどに触れるのですが、漠然とではなく具体的に聞いていくのが効果的です。
また、複数で行う場合は、みんなで歌を歌ったり、古き良き時代の記憶を共有していきます。
みんなで語り合うことで、対人関係が良くなったり、生活が活性化したりもしますので、一石二鳥の方法とも言えるでしょう。
子供時代や戦時中の体験、五感で感じたことは脳に深く刻まれ、胸の奥深くにしまわれています。
それを意識的に引き出し、ノスタルジーに触れてもらうのが回想法です。
回想法は、ご家庭でも簡単にできる認知症ケアの方法なので、ぜひ試していただきたいと思います。