認知症に対する園芸療法について
認知症の方への効果的な療法として、園芸療法が取り入れられています。
人は、自然を身近に感じるだけでも心癒されるものですよね。
ましてや、自らの手で植物を育てるとなれば、良い効果が出るのは当然のことと思います。
認知症の方でも、きれいな花を見れば「わぁ~きれい!」とやはり感動を表しますし、園芸作業で頭と体を動かすことは「認知症予防」や「リハビリ」にもつながります。
そもそも、この園芸療法は、1950年代頃からアメリカや北ヨーロッパで行われ始め、兵士の傷ついた心のケアや、障がい者の社会参加を目的としていたものでした。
園芸療法の認知症に対する効果
緑に囲まれるだけでも人は心地よさを感じるものですが、暑い日差しや緑のまばゆさは、「見当識障害」で季節を感じなくなってしまっている方でも「夏」を感じられるのです。
また、夏に限らず日光を浴びることは、脳内の神経伝達物質の生成を促し、体内時計をリセットするという効果をもたらします。
さらに、園芸作業当日の季節や日にち、天候などの情報をこまめに示しながら作業をすることで、見当識のズレを小さくしていきます。
高齢者の方の子供時代といえば、まだ自宅や周囲に農地や緑が多くあった頃です。
当然、家族の手伝いや友達との遊びで、土や野菜などを触ったりする機会も多かったことでしょう。
そんな幼少期の頃を思い出してもらうこと(回想法)も、園芸療法の目的のひとつとなっています。
園芸作業に関わらず、仲間とひとつの目的のために協力し合うことは、社会性や協調性を育み、花が咲いたり野菜が収穫できることで意欲の増加も期待できます。
また、適度な疲労感が睡眠や食欲を促し、体力の増強にもつながるなどの効果が得られるでしょう。
日本では「園芸療法士」という専門的な資格制度もあり、本格的な園芸療法を行う土壌も整って来ています。