笑顔と認知症の関係について
笑顔と認知症との関係についてご説明します。
心理学には「人は悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しくなるのだ」という有名な言葉があります。
これは「泣く」という行動が先に起こって、「悲しい」という感情が後から来るからだということになります。
では、逆に落ち込んでいるときに無理やりにでも笑顔を作るとどうなるか?
やはり、これは心と身体が連動しているからでしょう、気分が上向きになることがよくあります。
このように「笑顔」には、前向きな感情を引き出す効果があり、これが認知症の予防や改善に大きく役立つのではと考えられています。
認知症に対する笑顔の効果について
認知症の方々は、基本的には人の表情を読み取る力が衰えていきます。
ところが、人間の認識力の中で笑顔を読み取る力はいつまでも残っていると言われています。
つまり、認知症になっても、表情から相手の心理、つまり自分にとって友好的か否かを読み取ろうとするのです。
ですから、介護者の接し方ひとつとってみても「笑顔の重要性」がわかります。
認知症の方は相手が笑顔であれば、それだけで安心しますし、「相手が嬉しそうにしている。穏やかでいる。」ということを感じ取って自分も穏やかになれるのです。
介護者自身が時間に追われ、笑顔を出す余裕もなく眉間にしわを寄せていたら、ご本人も不安になってしまい、なおさら介護が難しくなってしまうのです。
笑いが免疫力を高めるとかストレスを軽減するとか、体にいい影響があると以前から言われています。
さらには、記憶に関わる「神経伝達物質」を生産させて記憶機能にいい影響を与えることがわかっています。
笑顔が介護の苦労を和らげる手立てにもなることを踏まえて、まずは口角だけでも上げてみてはいかがでしょうか。